« 【芝居】「大きなものを破壊命令」ニッポンの河川 | トップページ | 【芝居】「ヒトミ」キャラメルボックス »

2014.03.16

【芝居】「もっと泣いてよフラッパー」まつもと市民芸術館

2014.3.10 13:00 [CoRich]

オンシアター自由劇場の伝説的作品の22年振り再演。アタシは初見です。東京のあと、 9日までまつもと市民芸術館主ホール、そのあと大阪。休憩15分込みの210分。

1920年代、その街はギャングと禁酒法の街。経済的な余裕をもったアバンギャルドな女たちは 酒とタバコを片手に、自立しはじめていた。それでも女たちは恋をして、破れたりもしている。
古くからこの街を縄張りとしてきた古参のギャング団と、新興で最近伸してきたギャング団の対立は 一発触発になっている。正義感にはあふれるがチカラはない新聞記者はギャングたちを快く思わず すきあらば叩きたいと思っている。彼には勉強好きの許嫁がいる。
踊り子になるために田舎から出てきた女は、ひどい目にも、あるいはネズミたちの 生活に紛れ込んで酷い目にあったりしながらも、八百長ボクサーの道案内でたどり着いた クラブの踊り子になる。大騒ぎのバックステージだが、 踊り子たちは異国の皇太子に見初められたり、酷い男ばかり掴み続けていたのが優しい男に出会ったり、 恋にも忙しい。
恋に落ちた皇太子は国に帰らず道化師となり、月に似た人形に恋をしてしまった道化を演じる。古参のギャングのボスは記者の許嫁に許されない恋をしてしまう。

20年代の最先端の女性たち・フラッパーを主軸に享楽的だったりギャングだったり、あるいは時に不思議なネズミの物語や人形の物語を織り交ぜ、音楽に乗せて描きます。華やかなクラブのショー、賑やかでごみごみとさえしているバックステージ。八百長なボクサーの思い悩む姿。 女性たちのそれぞれの恋、非道い男ばかりにあたったり、皇太子にプロポーズされたり、ギャングのボスの許されぬ恋だったり。恋をした男たちは、のめり込んで身を持ち崩したり、命までうしなったりとろくなことはないけれど、女たちは泣いてはみてもどこまでも力強い。

ギャングのボスが恋した女の子、それが実るという一連のシーンがとても好きです。オジサンの切なさと、純粋に愛される女の子が受け入れるのに、あっという間に二人に死別が訪れるということの幕切れと。

田舎から出てきた踊り子を演じた松たか子は、男物のスーツに「着られる」感じのある種の幼さから、不思議な冒険を経て、男とも寝たりし成長していく姿がいい。大人の女優が若い女性を演じるとき、たとえば深津絵里や宮沢りえがするのと同様の発声に聞こえるように思うのだけどどうしてだろう。 ボスを演じた松尾スズキは、役じたいの少々卑怯な感じはあるけれど、ほどよい力の抜け具合と、恋してメロメロな中年の悲哀すらある感じが印象的。東京公演での感想に多く見られるせりふの不安定さはみじんもなく。ボスに惚れられる女を演じた鈴木蘭々は意外なほど(失礼)可憐で、しかも誠実なワンピースの似合う女性を好演。 皇太子に惚れられる踊り子を演じた秋山奈津子は、それでも舞い上がったりしない大人な感じがいい。恋い多き踊り子を演じたりょうのしかし真っ直ぐな感じがいい。月にたとえられる踊り子を演じた太田緑ロランスはすらりと美しく、みとれます。 串田和美舞台に欠かせない片岡正二郎、内田紳一郎はコミカルだったり、軽妙だったりとかっこいい。

|

« 【芝居】「大きなものを破壊命令」ニッポンの河川 | トップページ | 【芝居】「ヒトミ」キャラメルボックス »

演劇・芝居」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【芝居】「もっと泣いてよフラッパー」まつもと市民芸術館:

« 【芝居】「大きなものを破壊命令」ニッポンの河川 | トップページ | 【芝居】「ヒトミ」キャラメルボックス »