【芝居】「トムソンガゼル」ぬいぐるみハンター
2014.3.1 18:00 [CoRich]
冷たい雨の中でしたが、この日時に。劇団員と客演を組み合わせた三人芝居を、5週間に渡って上演する企画公演。小規模・実験性が強い公演としてオルガアタックと銘打って。2日まで、風みどり。70分。終演の翌日になって劇団員退団のリリースが出ています。
妹の住処に逃げ込んできた姉二人。姉妹はサバンナ最弱の草食動物、トムソンガゼル。妹は幼い頃に人間に囚われて人間と同様の生活をし、この建物で暮らしているが、姉二人は野生のまま暮らしている。
動物の姉妹という設定。野生の姉二匹と、人間社会に溶け込んだ末っ子。哲学を語るようで、日々生きていくことが大切という寓話っぽさが面白い。狭いキッチンのような場所、もう人間の生活になじんでしまって、コーヒーでも淹れちゃっても、あるいはシャワーを浴びるのどうの、毛が詰まるから嫌だというやりとりといい溶け込みっぷりがわりと好きです。
かと思えば、交尾とセックスは違うというちょっと哲学的なことも「交尾」という言葉が動物という設定にあっていたり、料理するかどうかという会話で、火は怖いじゃんとか(野菜は焼いたら燃えてなくなっちゃうじゃんもなんかいい)とか動物な会話。かと思えば神様はいるのかどうか、というよく概念のわからないものをあれこれ想像したり、かと思えばその失敗作たるヌーのことで卑近に引き寄せて考えたりというあれこれ。人間は退屈を埋めるために生活してるなんてことも、「動物から見て」そう感じてるという視点。
飼い主というか家主がずいぶん前に出て行ったきり戻ってきてないということだったり、過去には末っ子が人間に捕まったのを匂わせるセリフだったり、かと思えば末っ子はどこか飼い主と恋人気分があるんじゃないかという流れは、もしかしたらもう末っ子はこの「人間的な」生活からは離れて野生に戻るんじゃ無いかと匂わせていて、それはそれで、ちょっと切ない話だったりもします。
長女を演じた杉村こずえは、もっとも「野生」っぽいという設定で、つっこみまくる感じが楽しい。次女を演じた小園茉奈は可愛らしく、しかしこれも野生というある種のギャップ感。人間らしい生活をしてる末っ子を演じた土田香織もまた可愛らしく、お姉ちゃんたちの傍若無人に振り回される前半の味が好きです。
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