【芝居】「江戸系 諏訪御寮」あやめ十八番
2014.3.15 18:00 [CoRIch]
堀越涼のユニットの第三回公演 (1(イベント), 2, 3 ) にして初の劇場公演だといいます。120分。土曜夜の回は劇中の楽団の音楽と主宰のトークによるライブがついていました。16日まで楽園。
川で隔てられた十六島とよばれたその土地には鬼が村の若い娘をさらい子鬼に食べさせていたという伝説がある。
その土地には「拝み屋」という一種の祈祷師の一家が住んでいて、一帯の人々の信仰を集めている。信仰の柱となるのは一家の姉、長男は宗教法人やデイサービスの会社の経営が忙しいが次男は音楽にうつつを抜かしている。
近くには店を営む家族。姉は結婚し夫がこの家で同居していて、妊娠している。弟は高校を辞めたが元英語教師だった祖母に英語を習い大学に進むつもりでいる。祖母はデイサービスに通所するようになるが、少女に出会った直後に意識を失って目をさまさなくなる。弟は行き場のない少女に恋をする。
拝み屋の人々は元々関西の大店からここに住むようになり、金でこの土地を治めるようになるがさらに治める力を得たいと感じていた。
船頭の娘はかけられた橋により家が傾き、父が亡くなり母は男に狂い姉のの婚約者とともに駆け落ちしてしまう。この家に奉公に来るようになるが、母が産んだ赤ん坊を押しつけられるが、やがて赤ん坊は死んでしまう。近くの神社に亡骸を運ぶが、その神社は鬼が封じられていた。鬼は死んだ赤ん坊を生き返らせる。それが拝み屋への信仰の始まりになった。
祖母の時代を象徴するようなオールディーズを中心にした生演奏を挟みながら物語を進めます。
「拝み屋」諏訪家の役名は史実にあるもののようですが、物語はそれとは関係がないようです。むしろ作家が自分の父母に聞いた「拝み屋」を軸に、 作家の生まれた千葉県にある十六島など「シマ」を舞台にして描きます。鬼から寿命を「借りる」ことができるというフォークロアっぽい伝説を下敷きに、信仰を集め続ける地元の大家と半ばそれに巻き込まれたごく普通の一家を二つの軸ににして物語が進みます。
割と多くの方が指摘しているように、やや複雑で壮大な物語を、生演奏の音楽を挟んで描くのは、少々過剰に詰め込んでしまったという印象が残ります。音楽も心地いいけれど、物語が寸断されてしまう感じはあってやや勿体ない。あるいは信仰を集める拝み屋の発端となった物語を(アナザーストーリーとして別の話に切り出して今作では)ばっさりカットしても成立すると思うのです。諏訪の伝説をもっとコンパクトに作るという手もありそうです。
高校も辞めてしまった男(美斉津恵友)と突然現れた少女(土佐まりな)のやや切ないラブストーリーが好きです。このシーンをずっと観ていたい感じがします。 父を演じた北沢洋と母親を演じた中島美紀の温かい家庭な雰囲気がいいのです。 宗教法人かつデイケアの経営者を演じた堀越涼、最初にヒッチコックよろしく、本人が喋るというフォーマットがいい。
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