【芝居】「遙かなるカトマンズ」暴走乙女ライン
2014.3.29 14:30 [CoRich]
散歩道楽の四人の女優によるユニットの初公演。役者とともにドリームダンの作演も行う川原万季の作演で。3月30日までプロット。95分。
蕎麦打ちが心底好きな女、父の残した蕎麦屋を継ぎ借金も抱え、気がついたら恋人もいないままいい歳になってしまった。絶望する気持ちのまま自殺を企てるが、そのとき男が店に入ってきて未遂に終わる。女はこの男こそが運命の人なのだと考え、恋に落ちる。
久々に逢いに来た高校の同級生や、蕎麦好きのナースとそれを追いかけてきたタレントの卵はみなこの男の元恋人だったり、今の恋人だったりするが、蕎麦屋では再会した店主と男は寝てしまった結果、女たちは
つかみ合いの大騒ぎになるが、男は結局アルバイトの若い女を選ぶ。
女性によるユニットらしく、一人の男をめぐる女たちの物語。傍目にはうだつの上がらなそうな中年の男が、モテモテ。さらには真面目までもがその虜になりつかみ合いの大喧嘩の挙げ句の諸行無常。 物語の骨子をいってしまえば、これだけのことなのだけれど、その無情感を、「はるかなるカトマンズ」の地でコミュニティをつくり悟って暮らす女たちという終幕の跳びっぷりがかっこいい。
久しぶりの親友に好きな人が初めてできた、ということを語るシーンがちょっといい組立て。 絵のモデルだったり、タレントだったり、それぞれのきっかけがいちいち胡散臭いうえに、風俗狂いの上に借金を貸してるというそれぞれの絡み方がバラバラで、わりと漫画のように分かりやすいものが多いのも 見やすいところ。正直にいえば、登場人物はここまで必要ない感じがしなくもありませんが、 あまり大きな問題ではありません。
この女たちの中にあって、子供というまったく影響されないポジションに淡々と居続ける菊池美里は派手さはないのに、彼女以外では誰ができるのか想像がつかないほどにすごみがあるのです。蕎麦を延々食べてるだけ、なんてシーンの存在感。
蕎麦屋の地味な女を演じた鉄炮塚雅よは、実像は知る由もありませんが、地味だけど思いこんだら突っ走る、まさに「暴走乙女」を体現するかのように好演。高校の友達で、セックス大好きでセーラー服姿
というキャラクタ勝負な造型のヒルタ街、自分本位すぎる感じのややイタい感じのタレントを演じた珠乃
という、一癖二癖な女優陣の魅力。
それにしても唯一の男性を演じた村田与志行のうだつ上がらない感じなのに、やけにモテる感じ、
やけに説得力。
若い女を演じた荒川佳は、かっさらうことのかわいらしさの説得力。前半で男に興味ないといっていても、コロっと、というあっさりさも(セックス上手を基準に考える)のも含めていい。
店主の大学の後輩を演じたナースを演じた竹原千恵のなんか、惚れてることを隠してる説得力。店主の下着姿の後とはいえ、パンツみせての格闘に喜んでしまうオヤジなアタシです。
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コメント
とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
投稿: 履歴書の書き方 | 2014.06.30 11:19