【芝居】「そしてまたキミのユメをみる。(A)」なかないで、毒きのこちゃん
2014.3.21 14:00 [CoRich]
一人芝居を三本立てで公演。2バージョンあるうちのAバージョンは、若さとか生きることのいわば陽なものを集めています。23日まで風みどり。60分。
学校の女子トイレに閉じこもって泣いている女の子、扉の外の友達に口述で遺書を書いてもらっている。もうすぐ死ぬのだと思っていて。感謝の気持ちとか、友達の彼氏に告白しようとしたり「おせきはん、たく。」
自分の部屋で野球部の先輩への告白を夢見て妄想とシミュレーションを繰り返す高校生。母親が外で聞いてたりもして「そしてまたキミのユメをみる。」
アイドルのファーストライブ。空回りするほど元気いっぱい。最後の曲の前にファンに話したいことがある、という。デビューから9年経ったが
「ふつうの女の子、18歳(仮)」
前回に来たときとは少し場所の様子が変わっています。改造をしているのか、徐々にアトリエの様相になってきてるのが楽しみです。
「おせきはん〜」はタイトルで着地点は早々にばれてしまうし、そんなのきっと知ってるはずで、こんな状態にはならないだろう、ということを小学校三年生と、小学校での教育は(事実かはわからねども)四年生という
設定がこの舞台の異常事態を支えます。こんな細かなことだけれど、それがあるだけでずいぶん印象が違うわけで、その細やかさは大切なこと。
背筋を伸ばして胸を張り、前に歩き出してカーテンの向こう側消えていくラストシーンがいい。風の強い日だったけれど、カーテン越しの風がいいのです。演じた浅川千絵は体操着姿の小学生というかなり危うい感じだけれど、説得力。
「そして〜」は、女子の妄想力いっぱいが背骨で、まあ、その恥ずかしさを端で見る楽しさがベース。広島弁が可愛らしく、じゃけんね、という語尾だったり カープ観に行くとか、初恋の味のカルピスだったり、インパクト勝負だったりとさまざまが楽しい。 そこに差し挟まれる母の過去がスパイスに。 そのあこがれの先輩には彼女が居て、それでも、奪い取る気合い十分なのは、女の子にみえて女の一面を みせます。演じた坂本梓はちっちゃくて元気いっぱいな女子っぽさが爽やかに。
「ふつうの〜」は、 あきらかに反応の薄い、しかも座席の少ない客席を前提にしながらも、コールアンドレスポンスを強要する、女優にとっても修行のようなつくり。モデルデビューから9年の谷ばかりのこの世界の生活、6年目にしてつかんだセンセイとの出会いはナンパだったのに熱意に負けて経験もないのに売り出してというあからさまにダメな感じがほほえましく、 その後のアイドル生活3年の間に、迷走しまくって、サイボーグ、反省、逢えない、白線、死なないというポイント、短期間にどんだけ迷走しているのだというばかばかしさが楽しい。 観客に対してもある種の試練があって、ハンドル名をいちいちつけて呼びかけられたりします。 少ないファン前提だったことがあかされる終幕、というのもちゃんとこの場に対して戻ってくるというのが着地点として美しくて。 正直に云えばカバー曲で時間を使いすぎているところはあるけれど、ちゃんと踊るのをフルコーラスでこの距離で見ているということの眩しさはちょっと浮かれちゃう春の日なのです。演じる 田村優依はアイドル特有の「いい娘なんだろうな」な説得力の造型。
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