【芝居】「3番目の恋人」エビス駅前バープロデュース
2014.3.22 16:30 [CoRich]
三演めとなるバーの芝居。あたしは初見です。4月2日までエビス駅前バー。80分。合い言葉で木戸銭の割引があります。
不振で店を閉めることにしたバー。バーテンはでたらめな占いの口先三寸だが、恋を成就させるのが巧かったりする。荷物の搬出作業をしている最中にかかってきた電話は、バーテンのかつての仲間だが、仲違いしたままだった男からだった。急遽営業することにするが、そこに常連客だった夫婦が入ってくる。バーテンの占いをきっかけに結婚したが、裕福な家に生まれた女と妻とした漁師の家に生まれた男の価値観の相違はどうにも埋まらなくなり、離婚を決意したのだという。
かつての仲間は口べただが、惚れている女が居て、どうしたら結婚できるのかを聞きにきた。彼女は裕福な生まれで男は劣等感も手伝って告白できないままでいる。
コメディというよりは、ラブストーリー仕立てで素敵な物語、という体裁。格差というとちょっと違う気はするけれど、家柄だったりそれまで生きてきた生活レベルだったりというものの差が夫婦の危機を迎えているカップルのバーへの再訪と、まさに今その格差婚に踏み切ろうとしている若いカップル、口先三寸だけれどカップルを成立させるのはうまいマスターと。3年を隔てた二組の格差カップルが、それを乗り越えていけるかどうか、という構造がまるで時間軸をさかのぼるかのように二重写しになっているのがポイントなのです。それは離婚寸前のカップルにもかつてあった、熱く互いに想い合っていたことを思い起こす、というハートウォーミングな構造が微笑ましいし、終幕にもう一押し、というのも素敵で、そうであっても次の恋にすすむ、という清々しさがいいのです。
口八丁なバーテンを演じた島田雅之はさすがの安定感、情けなかったり、虚勢張ってみたりとオジサン感が嬉しい。妻を演じた田中千佳子はエビス駅前バーの公演の常連で、芝居毎の振れ幅の広さの魅力。 電話して訪れる友人を演じた末原拓馬はキメ顔と恋してメロメロになる男子の落差が可愛らしい。その 彼女は日替わりになっていますが、アタシの観た回は工藤理穂で、いっぱいいっぱいな男子に対して ノってあげてるのに裏切られちゃうがっかりな感じがかわいい。
正直にいえば店を閉じたバーという設定でなかったとしても、客がたまたまあまり来ないというシチュエーションでさえあれば、あまり変わらないのは勿体ない。席についた瞬間に棚に居並ぶはずのボトルが すっきりない、というのは新鮮でわくわくするような魅力的な設定なのに、それが必ずしも生きていない感じなのは少々もったいない感じもするのです。
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