【芝居】「電磁装甲兵ルルルルルルル」あひるなんちゃら
2014.2.1 15:00 [CoRich]
いつものように駄弁芝居、75分。2日までOFF OFFシアター。 その回のMP3音声を500円で販売しています。(手持ちのUSBメモリーにコピー、または販売用メモリ(+300円)、CD-R)
攻めてくる敵に対抗するためにつくられた合体ロボット。街の住民は避難しており、本部の前で三体の訓練が行われている。休憩所でそれを見ている男はロボットに乗りたかったが漏れてここで働いている。最高司令官やサポートのためのオペレータスタッフ、エンジニアたちも集うこの場所に警報が鳴り響き敵が攻めてくる。なんとか撃退したものの、三体の合体はうまくいかない。双子の男の息は合っているが、天才だという女との息がどうしてもあわない。
巨大ロボットを擁する防衛基地だけれど、実はオフィス(の休憩所)とかバックヤードとか、どこでもありそうなオンとオフの狭間にあるような風景の点描。外回り(営業)のパイロット、それをサポートする営業補助やエンジニア、あるいはOLな感じ。ラインからははずれた感じの社員、仕事という場所ならどこにでも当てはまりそうなコアを見極めて、外側の舞台にあわせてアレンジを加えている感じがします。ロボットに会社組織といえばアニメ・トライダーG7、って考えちゃうのあたしもいい歳です。
街を眺めるという感じの休憩所のごく短い会話からこの街が住民を避難してここが前線基地で隊長が誰で、最高司令官に可愛らしいキャラがついてたりと、人々や設定をあっという間に観客に伝えてしまいます。かと思えば思い出の語りなど設定とは関係ないことに話が飛びまくったりというのも実に見やすい。というか、このリズムが実に心地いいのです。 舞台で演じられるものとしてはいわゆる台詞を中心としたコントがもっとも近いという感じですが、昨今テレビではこんなに時間をかけて一つの世界を描くことはできませんから、舞台だからこそのフォーマットだし、時間を短くしたゆえの濃密に描かれる世界。それがいつもハズレなしなのがこの劇団のいいところ、人にも勧めやすいのです。
コーラを買うために100円を拾おうとする女にあげる、貸すを断ってでも起こした奇跡(客席ではっと息を呑んだ音が聞こえた)は簡単なことなんだけど巧いしなんか楽しい。似てない双子が見分けられるのはこの基地のなかでも非常に限られているという「なにこの世界」な感じをゆるやかにひっぱるのも巧いなと思うのです。
(すくなくとも昔は理系だった)アタシのツボにはまるのがなぜ、ルが7つなのか、という説明のシーン。三つの機体、1号、2号、4号(つまり二進数の桁)が合体する巨大ロボットだからで、更に二つで合体したときにどの組み合わせか呼び分けられるからと説明し、だめ押しで単に三つの数字を桁に(10進数)割り振ったらさらに大変なことになると説明するのは、Eテレあたりでやってほしいぐらいにおもしろく、知っていてもワクワクしちゃうのです。
初出演にして、女性では唯一のツッコミという重責を担った森かなみは、ツッコミながらもどこか優しくほわっとした雰囲気がいい。最高司令官にして女の子を演じた田代尚子は声に特徴があって印象的。 オペレータリーダを演じた松木美路子はフラットにぼけ倒す味が安定すら感じさせます。二進数が理解出来なかったりカタカナに弱かったり自覚なくコネ入社したと信じてる女を演じた宮本奈津美、明るくテンション高くずれたボケが可愛らしい。エンジニアを演じた三澤さきはギャンブル依存という造形を悲壮感なく楽しい感じに。双子が唯一見分けられる天才なのに都合が悪くなると耳が聞こえなくなる難病を抱えたパイロットを演じた篠本美帆は、強気の感じが原点・チーム下克上でのオラオラ感が久しぶりに戻った感じが楽しい。パイロットになりたい男を演じた根津茂尚は実直まっすぐという造形が物語の骨格。あからさまに見た目が違う三瓶大介と堀靖明を似てない双子とした設定の破壊力はたいしたものだし、微妙な喋りのシンクロがまた楽しかったりもするけれど、常連の役者二人をここにあてて、結果として同じようなつっこみをするようになってしまったのはちょっと勿体ない気もします。
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