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2014.02.26

【芝居】「あの世界」MCR (ドリルチョコレート)

2014.2.21 15:00 [CoRich]

28日までOFF OFFシアター。75分。

プロレスの控え室。普段は前座のおちゃらけた試合ばかりの男だが、ファンの間では実は強いのではないかとまことしやかに語られている。人気レスラーを挑発した結果の因縁試合。かつてタッグを組んでいたが膝を壊して引退している仲間にセコンドを依頼するも、ほとんど準備をしないばかりか、プロレスには興味のないが金目当てで付いてきた飲み屋の女を口説こうしている。取材に訪れた記者はどう書けばいいのか頭を抱えている。
最初はガチでやる気だったのだが、上の意向で「プロレス」をやるようにし向けられ、選手であり続けるために、それに従うことにしたのだ。だが向こうはガチを仕掛けてきてるようだ。

プロレスの楽屋、1時間強の濃密な時間。 かつての伝説こそあるものの、今ガチで勝負すれば年齢もハンデでおそらくは勝てないだろうという自覚があるのに、周到に準備した相手に比べて無為な時間を過ごしたままに迎えた試合当日。危機的なストレスの状況になると逃げてしまうという感じといい、かつてはそれなりに何かが出来てた筈なのに衰えた感じといい、更に生活することだったりと、アタシにもヒトゴトではありません(泣)。 もしかしたら役者自身だってそうなのかもしれないけれど、それを単に望みのない話にはしないで、「プロレス」の世界に描くことで、ガチかもしれないし、プロレス(=作られた物語)かもしれない、プロレスの中に一縷のガチがあるかもしれない、という希望の物語になるのです。

プロレスには詳しくないアタシです。ガチはわかっても、「プロレス」という言葉のニュアンスだったり、「ジョブする」という言葉の意味だったりは知らないけれど、それを直接には説明しなくたって、文脈と繰り返しの中でニュアンスが判っちゃう感じが楽しい。

中年プロレスラーを演じた有川マコトは飄々とした中に哀愁というある種得意な造形だけれど、その中にある熱さがプロレスという物語にぴったりして実によくあっています。 引退したけれどセコンドにやってきた熱い男を演じた櫻井智也は、燃料を投下し続け、煽り続けます。その中に見えてくる「ステージを去った者」の視線は、厳しい現実も感じさせたり。 連れてこられた女を演じた後藤飛鳥は、拝金主義だったり、どこかこの熱さを小馬鹿にしたような感じでもあるのだけれど、その中に、そんな男たちを見て可愛らしいと思ってるんじゃないかというどこか母性のようなものが見えたりするのが暖かい。 記者を演じた堀靖明は、前半こそ得意なツッコミな造形だけれど、後半に至って彼から溢れる熱量のシーンがいい。この部屋を一歩出れば、ファンたちの異常な熱気と期待に溢れているということがはっきり感じ取れるのです。

--> 有川マコト、櫻井智也、堀靖明、後藤飛鳥(五反田団) 脚本 櫻井智也 -->

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