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2014.01.30

【芝居】「レーザービーム!」はらぺこペンギン

2014.1.25 14:00 [CoRich]

135分。26日まで駅前劇場。

老舗の饅頭屋の裏庭には神木があって、この木をかじった兄弟たちはそれぞれ超能力を身につけている。神木を大切にする祖母はずっとこの店を守ってきたが、その息子である父親は町議となっていて神木を切り、祖母を施設に預けてこの店の場所をオリンピックに向けた道路にしようとしている。
祖母の誕生日を祝おうと兄弟たちが集まり、家を出たきりになっていた祖父のものまね芸人にさせようと考えていが、超能力が現れていなかった長男の手から突然レーザービーム発せられて、庭の一角に穴が出現する。その穴に入った長男と長女は時空を越えて戦後すぐの裏庭に出るが、そこで目にしたのは、映画出演に浮かれる若き祖父の姿だった。ホンモノを見せるのが一番と考え、だまして元の時代に長男が連れ帰った。
同じ頃、未来では時空警察が法規違反の時空のゆがみを検出し捜査に乗り出す。 超能力にタイムトンネル、忍者に妖怪風味まで加えてはいるけれど、居なくなった祖父を待ち続ける祖母というちょっとしたラブストーリーを軸にして心優しい孫たちというホームドラマで包んだような仕上がり。結婚出来ない長男やら、夫と別れる気満々な長女やらという孫の世代、それなりの地位にもなって親の介護も考えなければいけない父親たちの世代、人を想い待ち続ける祖父母の世代をデフォルメして描いたベースをしっかりしつつも、荒唐無稽な登場人物たちが暴れ回る物語は、誰でも気楽に楽しめるエンタメなのに、うっかり涙してしまいそうになるような懐の深さがあります。

登場人物たちそれぞれに物語を描き込んだ結果、物語のボリュームはやや大盛りに過ぎる感じがしないでもありませんが、それぞれの登場人物たちが置いていった伏線を余すところなくきっちり執念のように回収していく物語の運びは、見ていて気持ちがいいなともと思うのです。

祖母の想いの物語を決着したところで、作家はこの物語の舞台に流れる、大きな河の流れを提示して見せます。それまで物語の片隅にしか居なかった江戸時代(らしい)女性と男が始めた饅頭屋はその庭にある木とともに、母親たちが繋いでいく様子を見せます。その時間の流れがある場所を舞台にして描いてきた物語なのだ、ということを振り返る感じでちょっと面白い。もっともこれも大盛りの原因の一つではあるので、痛し痒しな感じもあるのですが。

祖母を演じた手塚けだまは「美しくない」という酷い云われようだけれど、老人となってからの表情の無さは重みすら感じさせるので、物語の基点となり印象を残します。前説からレーザラモン風な時空警察を演じた熊坂貢児は正直イタい役柄の造形ですから客席がある程度乗ってくれるかどうかで評価が分かれそうですが、アタシの観た土曜昼はいい雰囲気、戻っていく祖父に人情は無いのか、という一言のシーンが暖かさを感じさせます。母親を演じたヒザイミズキは時間堂ではあまり見せないような川井らしいコメディエンヌぶりをしっかり。こういう軽さに慣れない感じはうけるものの、しっかり。長女を演じた辻沢綾香は強気な平手打ちから、子供が出来る不安に至るまでの振り幅が楽しい。祖父を演じた立浪伸一は、昭和の男の不器用さのリアリティ。 三男を演じた三原一太は、甘えん坊っぷりな雰囲気が微笑ましくて嬉しくなる感じ。

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