【芝居】「しなやかに踊りましょう」東京タンバリン
2014.1.19 15:00 [CoRich]
ずいぶん久しぶりに拝見する気もします。 19日までシアタートラム。75分。
ゴミ出しで顔を合わせる町内会の女たち。当番が守られないことに腹を立てている女が居るが、他はそれを煩わしく思っている。女優とその使用人だったり、居場所がなくなった女だったり、失業中の女だったり、占い師だったりと女たちはそれぞれだ。
ある日、姉が行方不明になったと、妹が探しにくる。部屋の鍵はあいたままで壷が一つ割れていた。近所で挨拶ぐらいはする関係だった面々に聞き回るが、行方も犯人も皆目分からず。
ミステリー風味に始まりますが、実際のその着地点は物語としてはなんだかなという感じではあります。ミステリーを描こうということはそもそも考えてないんじゃないか、と思うのです。それよりも 若くはない女たち。それぞれに生活はあるけれど、日常の中で顔を合わせる「ご近所さん」。行方不明という事件が起こるけれど、わりと無責任に殺されたのではないかと云ったり、真剣に話を聞こうとしている「探している人」に対して脱線ばかりで進む気配のない会話だけがどんどん消費されているという感じ。 女たちの井戸端会議だったり、あちこちに話が飛ぶ感じだったりをひたすらに。
女優やら女中やら占い師やらという突拍子もない感じだったり、どこまでもかみ合わない会話という意味で、あひるなんちゃらや、ワワフラミンゴが頭に思い浮かぶアタシですが(それぞれの劇団での出演経験者が居るから、という可能性も否定できませんが)、そういう笑いという感じでもありません。 後半に至りあからさまにおかしいポジションをとり続ける女優ゆえの笑いはあるけれど、ズレる感じが笑いに結びつかないのはやや残念な感じ。
もっともそれじゃあ面白くなかったかといえばそんなことはなくて、女たちの無駄話というのがこの上なく好きなアタシです。見慣れた、しかし実は同じ舞台で見かけることの無いそれぞれの個性的な役者たちが、時に可笑しく時に可愛らしく会話し動き回るのは楽しいのです。ですが、この豪華な役者たちならば、 もっともっと、という贅沢な気持ちにもなってしまうのです。
広い舞台、 キャスター付きのに役者が座り、テーブルと一緒に文字通り自在に操り滑るように動くさまは、単に楽しい目新しいというばかりではなくて、見ていて美しくフィギアスケートのように優雅でもあります。ダンスでは無いのだけれど、どこかダンスのような動きの美しさ。終盤に至り、それぞれが中央にぎゅっと集まるのは、断片的に撮られた映像がぎゅっと一カ所に凝縮していくCGを見るようでもあります。 「女優」を演じた宮下今日子はかなり無茶振りで現実味の無い役を強引にねじ伏せるようにきっちりと役に着地させてたいしたもの。メイドを演じた佐藤恭子のちょっととぼけた感じも楽しいけれど、入れ替わるという無茶振りもちょっといい。ひたすらにゴミ当番に執着する女を演じたザンヨウコ、居場所がない女を演じた高山玲子、職の無い女を演じた弘中麻紀、占い師を演じた内田淳子と、それぞれの無茶なキャラクタを演じきる役者たちも楽しい。尋ねてきた女を演じた黒岩三佳はその中でフラットで居続ける役をしっかり。
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