【芝居】「Romantic Love?」競泳水着
2013.12.21 14:00 [CoRich]
125分。26日までサンモールスタジオ。
元カレと結婚することになった友人のパーティに呼ばれる女。初恋、先生を経て美大進学に上京。やがて料理が出来て優しい映像関係の男と結婚も考えるように。その妹とも仲良くなる。男は映像をやめて就職して、絵を描く女を応援するという。男は忙しくなり女は不安になる。イラストの仕事を発注してくれた男に相談した挙げ句、肌を重ねてしまう。
芸大の親友にはツッコまれまくり。果たして個展を開くけれど。
主人公・ゆきを巡る恋愛模様。いくつかの恋愛を経て、結婚まで至ろうという彼氏は自分のことを心から支えてくれているのはわかっているし、その妹とも本当に仲良くなったけれど、恋人らしくふれあい、温もりあうことが減ってしまうことに募る不安。仕事で出会った男は冷たいぐらいなのにオトコを感じ惹かれてしまうという自分のオンナの部分に戸惑いながらも、恋愛(というよりは性愛だと思うけれど)を選ぶ感覚。
わりとドロドロで、愛情とセックスが分裂してしまった感じのアンバランスといったベタな物語 。冷静に考えたら主役・りさは相当にビッチなんですが、その揺れ動く気持ちを持つ女、を物語として眺めている分には愛おしく感じてしまうのです。が、おそらく評価はひとそれぞれだろうし、絶賛したとしても男性と女性では基本的に違うところを見ているんじゃないか、と思ったりします。 観客が女性ならば感情移入できるかどうかの観客の視座にかかっているだろうし、観客が男性ならこんなビッチは許せないという視点が基本になりそうな気がするので、「愛おしい」というアタシの感想はなんか特殊な気がします。
上野友之が得意とする恋愛・トレンディという路線。あらたな役者のキャラクタゆえなのか、旗揚げ十年を経て作家がオヤジになったのか、ここまで性愛原理主義のような物語はわりと珍しい感じがします。男性側の「やりたい」の論理ではなくて、どこまでも女性が自立的に選んでいくこと。それが必ずしも成功しないというのもいいし、ことさらにだめんずというわけでも、セックスに縛られながらも溺れるほどではないという絶妙さが心地よいのです。
恋愛とセックスと気持ちと。こういう話を肴に女性ととことん語り合いたいなぁと思うけれど、恋愛偏差値がひたすらに低いアタシだと何が語れるんだとも思うし、それなのにそういう話を異性としていると、どうしてもその人自身を意識してしまう感じではあるし、そもそもそういう人はいったいどこに(泣)。
主役を演じた田中沙織、公開結婚ののち離婚を経てるということを一般の観客であるアタシでも知ってる、ということが、恋愛する気持ちもカラダに惹かれる気持ちもという生々しさと奥行きを感じさせます。
彼女を支えるために就職した挙げ句にフられてしまう男を演じた斉藤マッチュは優しさ主体な造形。その妹を演じた谷田部美咲は若い潔癖さと(兄の婚約者という)年上の友達な感覚という若さがほんとうに眩しい。選ばれる男を演じた倉田大輔は、体温低そうなのに仕事も出来てきっとセックスが巧いんだろうなぁという造形なんかイラっと来るけどちょっとうらやましい、なんてことを40過ぎてるアタシがいってちゃいけないわけですが。その男とのセックスが本当に忘れられない女を演じた亀田梨紗も実にいい。なんだろ、こういう生々しい造形に惹かれてしまうオヤジな私です。
美大の同級生を演じた小野寺ずる、いわゆる頭の中の天使と悪魔というツッコミの役回り。きっちり。
アタシが観た21日昼のゲストは堀越涼。なよっとした口調なのだけど、それが優しげで心地よい感じ。
21日昼の終演後に設定されたイベントは、旗揚げ公演のリーディングを50分ほど。ラブホテルの三部屋を巡るカップルたちとその間を繋ぐ掃除のおばちゃんの話。高校生カップルになったのび太としずかちゃん、出会い系で出会った男女、夫のいいつけでスワッピングしたカップル。ぎこちなささったり、どん欲なセックスだったり、戸惑いだったり。全体には爆笑編な作りに、どこまでも中二っぽいエロ満載な感じが楽しい。スワッピングにとまどう女を演じたすがやかずみの一途さが可愛らしい。掃除のおばちゃんを演じた森谷ふみはどこまでもコメディエンヌで下世話にならない感じがいい。セックスにどん欲な女を演じた谷田部美咲はさっぱりした感じなのにこの役というギャップの魅力。
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