【芝居】「居抜きの来夢来人」東京おいっす
2013.11.30 14:30 [CoRich]
東京おいっすの新作。キャスト交代があるようです。95分。1日まで「劇」小劇場。
同じ名前のまま居抜きで続いているスナック。ママと連絡がとれないのに大盛況でひとり奮闘する店の女。出入りのカラオケ業者の男の紹介でもっと条件のいい店の面接に行こうとしているが出られない。
店には久しぶりにやってきたというサラリーマンや、ママを待っているうちに酔いつぶれた初見の女、常連の生臭坊主、訳あり風な男女で溢れている。
上から目線の女が訪れて店で働かせろと迫ったりと騒ぎが続くなか、ママの娘を名乗る女がやってきて、ママは男と逃げたんじゃないかと云う。
大昔に連れて行かれたことはあるけれど、まだスナックに足繁く通うということは未経験なアタシです。まあ、飲み屋に広げれば何軒かはあるわけですが。世間の流行なのか、あるいはしょぼい感じに歳とってきたせいかどうにもスナックが気になってしまうお歳頃なアタシです。
緩くつながる常連の話しかと思えば、実はそうでもなくて、現在の常連らしいのは二人だけ。名前込みで居抜きが四代続くスナックにまつわる人々。友達関係ではあるのに切ない片思いだったり、一度は恋仲になったのにあっさりとフラれたまま断ち切れなかったり、まだ若くて可能性があるからもっと上に行けるという感じだったりとそれぞれの世代に分けて、スナックのごく狭い人間関係をショーケース的に。
それぞれのグタグダ込みな人間模様を描きつつも、スナックというある種のゆるさの空間への優しい目線が前編を貫きます。このスナックが嫌いな若い女ですら、ボヤをみんなと一緒に懸命に消火するうちに、この空間に取り込まれていく感じ。グダグダといえばそうだけど、その空気はどこまでも優しい。
あまりにもできすぎに偶然この店に都合良くみんなが集まる、という物語の根幹を「昨日近くで同じ名前の別の店でボヤがあったからそれを新聞で目にして」という理由付けで突破するのは、まあ強引ではあるけれどうまいやりかただし、それをボヤ騒ぎにつなげるのもちゃんと物語で機能しているのはおもしろい。 正直にいえば、それぞれの人々の物語がそれ以上に互いにつながらないのは勿体ない感じがしないでもなくて「そういうことがあった」「そういう人々が集っている」ということ以上に物語をドライブしないのはやや不満は残ります。
あまり役名で呼ばれるシーンがなくて、実は誰がどの役か全員はわかりません。 大倉みなみはスナックに集う一癖ふた癖の人々を優しく見守る感じ。 生臭坊主を演じたのはどなただろう。やや狙いすぎな感もありますが、確かにスナック常連ぽいゆるく飄々とした感じがそれっぽくていい。
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