【芝居】「新説・とりかへばや物語」カムヰヤッセン
2013.12.22 19:00 [CoRich]
23日まで、雑遊。
真打ちになって数年たった落語家のもとに少女が弟子入りを志願してきた。真打ちなのだから自分で好きなように決めよといいながら、自身は女が語る落語を認めない師匠に対して一門全体のことなのだから認めてほしいと考える。
女の方が語ることが得意なはずなのに、男の職業となっているのはおかしいと考えた落語家、自分の子供の女児と男児を入れ替えて育てる「とりかえばや物語」を下敷きに、落語は元々女が語っていたという創作落語を作り、自分の高座にかける。師匠は激怒するが、師匠が隠している何かがあると考えて..
母親なら誰でも子供に物語を語るということを根拠にして、(歌舞伎と同様に)落語も女性が発祥という架空の歴史を核に、それが男の仕事に変わったきっかけを新作落語として作る噺家の物語。女の仕事であること、男の仕事であることという歴史による強いこだわりがある、という世界。
落語家の物語が核になっているがために、双子の男女を入れ替えるという対象性が物語のバランスとして崩れてしまっている感じは否めません。ましてや、客も含めて皆、男だとわかって楽しんでいたというのだから、男女逆転も、発想としてはおもしろいけれど、物語として巧く機能してるとはいえない感じも残ります。学問と女性という点で津田梅子を持ってくるのは巧いと云えば巧いけれど、ややとってつけた感じ。
いくつも舞台として見所があります。たとえば格子戸に囲まれた舞台の向こう側で待機する役者たち。外側待機というスタイルは使い古された感もありますが、板張りの舞台の外側に格子戸を置いて間に挟むだけで語られる世界の質感が数段アップする不思議。取り替えられた女と遊女が抱かれた後の台詞や、落語を取り上げられた女と師匠の台詞という、空間や時代を超えた二者が同期して発話するシーンの音の美しさは格別で、実に心地よいのです。
たとえば言葉の端々がやけに今っぽかったり、いくらなんでも江戸時代を設定してるシーンでマッチはなかろうと思ったり、板の間に座ったままの落語は寂しいなと思ったり、あとから考えれば違和感はいくらでも出てくるのですが、実際のところそれが見ている最中は不思議と気にならないというのは、この江戸とも現代ともつかない不思議な空間にアタシがとりこまれたのだなぁと思ったりもするのですが。
笠井里美は、江戸っ娘よろしく気っ風のいい姉様口調にしびれます。
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