【芝居】「富士の破れる日」声を出すと気持ちいいの会
2013.12.1 14:00 [CoRich]
アタシは初見の劇団・コエキモの新作。3日まで武蔵野芸能劇場。105分。
身重の妻に御神水を届けようと富士詣でに来た商人だったが、忘れた財布をとりに戻ったために、強力とはぐれ、日が暮れ暗くなり道に迷ってしまう。そんな中、女人禁制のはずのこの山で赤ん坊を抱えた女を見かけるがそれも見失う。それを救ったのは富士講の五代目で弟子も取らずに山中に籠もる行者・月行だった。別の系譜の月心の弟子・村上光清は多くの弟子とともに富士講の権力をほしいままにしていた。
そのころ、富士山の噴火を予知した東京の学者は盲目の妻を家に残し富士に入り、火口に人工石を積んで噴火をくい止めようとする。商人の妻は家の暗い廊下の壁づたい歩く中、富士の胎内洞窟にやってきてしまう。
富士講の五代目・六代目たちの江戸時代、列強に対抗しようという明治、神話の登場人物・コノハナノサクヤヒメといったぐあいに富士山や噴火・火ににまつわるさまざまな要素を時代を超えて組み合わせ一種の奇譚として描きます。
盲目の自分のために富士講に出て戻らぬ子に迫る危機を心配する母であったり、身重の妻のために何かをしたいと想う気持ち。さまざまな要素を組み合わせて、人間のドラマを立ち上げます。正直に云えば、信仰、特に力を持って制することを是とするものから気持ちがどうにも離れてしまうアタシにとっては(現実の富士講や村上光清がどうであるかは知らないけれど)どうにも心が離れてしまって、物語に寄り添えないのが残念。あるいは家の壁づたいに歩いていた妻が富士の胎内に現れたりと、物語の根幹の部分がファンタジーな感じなのも、あまり得意ではないアタシです。
権力の側が、知らないほうがいいと考えて、というのを秘密保護法になぞってとらえるのは、ちょっとうがちすぎな感じはしますが、時期があっているだけに考えてしまうのです。
國重直也は、この物語の主軸となるちから。石井舞は和服を拝見するのは初めてだとおもうのだけれど、商人の妻らしく、殊更に型どおりでもなく、かといってだらしない感じにもならないいい塩梅の説得力。
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