【芝居】「晴れ、ときどき束縛、のち解放」池亀さん、他
2013.12.28 11:00 [CoRich]
地方の若者を描く「いけがめ、さんた」の新作。65分。 28日までRAFT。
クリスマスの夜、大きな男を背負って小さな女が倉庫に入ってくる。この田舎町で暮らす姉妹は子供のころ、近所の男に誘拐され、犯人は刑務所に居るが、ガンの宣告を受けて刑務所を出てこの町に戻ってくると聞き、姉妹はこの町で暮らし続けている息子であるこの男を監禁している。姉は結婚、妹は東京の専門学校に進むためにこの町を出ようとしている。東京に住む男の姉も久しぶりに戻ってきて、監禁に手を貸す。
子供の頃の誘拐。犯人は生活に困っての末の犯罪だったが、娘は東京に移り住み、息子はこの町でまだ暮らしている。犯人がこの町にもどり、反対に姉妹がこの町を出るのをきっかけに、息子に同じ誘拐・監禁をしようという骨子。あとから思い返せば上記のような感じなのだけれど、物語の運びとしては何も情報が観客に提示されない開幕から、姉妹であること、誘拐をしようとしていること、最後に来た女が男の姉であること、じつは誘拐された姉妹と犯人の子供たちであること、といった具合に情報が徐々に開示されていきます。物語の進み方は決して順調ではなくて、淀む感じも多いのですが、この背景のよくわからないまま流れる会話の着地点のわからなさ、姉妹が誘拐監禁を決めながらも、どうしたらこの状況が終わるのかを設定しなかったまま見切り発車したという、行き場ない気持ちを表しているようだとも思うのです。敵意むきだしな姉妹に対峙する男が、実はちょっと姉の方が好きだという後半のスパイスがいい味わい。
姉妹の姉を演じた片桐はづきは、心に秘めた力強さ、コミュ障な妹を演じた榊菜津美は、可愛らしさ、姉へのおめでとうな気持ちと、拷問道具ひとそろえ(バールのようなもの、とか)のギャップが楽しい。姉弟の姉を演じた浅川薫理はふわふわとした感じ、東京に出ては行ってるけれど大したことになってないのに、地元に帰れば東京を笠に着る地方都市な感じ。大男な弟を演じた後藤剛範は、三人の女性を相手にしたって簡単に逃げ切れそうな説得力。優しさ、降ってきてしまった犯罪者の父親というなかでもこの土地で生き続ける力強さも。
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