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2013.12.30

【芝居】「アマリリス」池亀さん、他

2013.12.28 13:00 [CoRich]

一軒家の二階にある子供部屋。女子中学生たちが集まってくる。マンガとお菓子があって、気ままに過ごせるこの部屋の主は、不登校で同級生たちが集まってきている。そこに部屋の主の姉である女子大生が東京から戻ってくる。遠慮しようとする同級生たちを引き留め、自身もこの部屋にいつづける。妹のことが心配だというが、他に目的があるようだ。
熱心に素振りするテニス部が、クラスの男の子から告白されたという。無関心を装う他の面々だが、バスケ部でクラスの人気者の男の子はやはり気になる。姉に命じられ同級生たちのジュースを買いに行かされたこの部屋の主はジュースを持たずに戻ってくる。貸していたマンガをその男の子から返して貰って、次の一冊を貸すのだと聞いて、一同は色めき立つ。

大人の扉が見えていても、キスどころか恋人なんてのもまだまだなウブな気持ちな年頃の女子中学生。虫歯がキスで感染るなんて言葉でもりあがったかといえば、食欲至上主義も居たりという具合な成長途上な感じが楽しい。微妙に難しそうな言葉の聞き間違いなどをちりばめた全体の作りは爆笑編で気楽に楽しめます。

現れた「大人」の女子大生。わりとダメな感じというのが後半で明らかになるけれど、気になる男の子に対して盛り上がったり潔癖さによる無関心を装ったりという具合の恋に対する幼さに対してどんどん煽っていきます。それはやがて四人とも実は気になっているクラスの男の子、という結束点、更には学校に行ってないこの部屋の主が一番彼に近いという状況が明らかになるに至って色めき立ち、面々が大混乱に陥って大騒ぎ、ちゃんとみんな色気づいてるという大人の階段に一歩を踏み出した感の楽しさ。

学校には行ってない子の家に毎日のように通ってくる同級生というなんかほっこりした感じがちょっといい。不登校だけど勉強はそこそこ出来る、という前半のネタ振りが後半に至り、同級生の男の子の存在にリンクするのが楽しい。携帯電話は持ってるけど他の友達は持ってないから云わない、というぐあいに「不登校な友達よりはまともでちょっと上の私」という、順序づけする行動原理が崩れた瞬間が混乱に至るという物語の面白さ。その後に今さらDVDで観た映画「桐島、部活やめるってよ」にも通じるような 混乱の極まる感じが楽しい。

いい歳した役者たちだけれど、女子中学生役の四人。潔癖な三つ編みを演じた萱怜子は大きい目を見開いてきゃんきゃんと叫ぶ感じ、食べ物への固執を演じた富山恵理子はおおらかさ、食べ物好きというわかりやすいかんじだけれど、ちゃんと恋心の物語の楽しさ。フライヤーモデルでもあるテニス部を演じたあやかは終幕のメタ視点になるまで物語を何度もドライブする感じ。静かなこの部屋の主を演じた大河原恵はフラットに居続けるということが重要な役。終盤の大騒ぎの中で見せた笑い顔にほっこりします。東京の大学に通う姉を演じた中野あきは、煽り、ガソリンを注ぎ、時に懐かしい気持ちに甘酸っぱくなりの先にあるのは金を借りたいという自分の理由という役だけれど、ダメんずにあんまり見えないのはご愛敬、というか実家だからそりゃそうか。

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