【芝居】「いのうえシェイクスピア「鉈切り丸」~W.シェイクスピア<リチャード三世>より」パルコ・プロデュース
2013.11.9 18:30 [CoRich] [感想文リンク]
いのうえひでのりの演出プランをもとにしたリチャード三世を青木豪の脚本で。大阪のあと30日までシアターオーブ。20分の休憩を挟み180分。
鎌倉時代、源頼朝の弟として戦で活躍をした源範頼は、せむしでびっこを引く醜男だった。木曽義仲を
斬っても気丈に振る舞う巴御前の美しさにこころ奪われる。
鎌倉の世、頼朝と北条政子は範頼に信頼を寄せるようになるが、頼朝・義経を陥れて天下をとろうという範頼の策略だった。
鎌倉時代の史実の隙間に物語を潜り込ませたというよりは吾妻鏡という「記録された」ものとは別の事実があったという体裁で、シェイクスピア・リチャード三世をモチーフにしたドロドロとした復習劇を仕立てます。この構造のおかげで、史実(といわれているもの)に対してかなり自由度を増すことが できるというは巧く考えたものだと思います。もっともこの手なら何でも出来るじゃんということに なりかねないわけですが。
「せむしでビッコ」という醜男のゆがんだ成功願望、策略をめぐらせて親族さえもその手にかけてという冷酷無比な男を日本の歴史物として描き直すという心意気が面白い。バラエティ溢れる役者たち、創作に溢れたキャラクタを楽しむのが吉。
正直に云えば、前半の物語の進みがどうにも興味が持ちづらい感じでこのままで大丈夫かと思ったりもしたのだけれど、後半はスピード感もあってあっという間でおもしろく。ならば休憩をなくして2時間ぐらいに出来たのじゃないかと思わなくはないのですが、このキャストゆえにそれぞれに見せ場が必要、 ということなのかもしれません。/P>
森田剛は流石にオーラ、少々同じ感じの発声が続くのは気になりますが、そういうキャラクタということかもしれません。全体にコミカルで鷹揚な人の良さの造型で、物語にテンションの強弱を与えたという意味で頼朝を演じた生瀬勝久なしにはこの舞台は成立していないと思います。時折みせる凄みとの ダイナミックレンジもいい。軽薄な感じという意味では吾妻鏡の書き手を演じた山内圭哉もいい味わい。 渡辺いっけいの人の良い感じ、若村麻由美の厳しい妻像は北条政子を戯画的に描いていて魅力的。 秋山菜津子の凄みも印象的。
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