【芝居】「地球の軌道をグイッと 」ぬいぐるみハンター
2013.11.8 19:30 [CoRich] [感想文リンク(劇団)]
疾走感が持ち味のぬいぐるみハンターが次章の始まりと位置づける新作は劇団員だけでの公演。17日まで「楽園」。 85分。
大学のワンダーフォーゲル部。4年に一度のヒマラヤ登山イベントに盛り上がっていたが、結局中止になってしまう。そのために貯めていた費用で会社を作ろうと言い出したのは、9歳にして大学に入った天才だった。
子供そのままにわがままで、会話もかみ合わないことばかりだったが、社長となりサークルの人々を創業者に巻き込んではじめたネット事業は見事に大当たりするが、ある日、新たな事業の立ち上げを宣言する。
9歳にして大学に入った天才、天才ゆえの孤独感の中で培われる「自分の信じる未来」それが世間一般の 人々とは違う価値観だったとしても、「天才」は聞く耳を持たないという全体の枠組み。 そんな「天才」と長い時間を時間を共有した人々の物語と読みました。この頭おかしい天才と一緒に居た おかげで、安定した職も豊かな暮らしも恋人も結婚相手も、あるいは新しい仕事も見つけられたし、 その人のことは苛つくことも多いけれど、仲間ではある。しかし、この天才との絶望的な溝を前にして この人々が選んだのは、自分たちをどうやって守るかということ。彼の云っていること行おうとしていることはもしかしたら正しいのかもしれないけれど、それは受け入れられないという決断。
深い深い溝の物語だと思うのです。わかりあえない天才と人々。 誕生日を効果的な小道具になっていて、誰もに生まれた日があるということ、生きると云うことは死ぬということだし、そんな共通点があっても解りあえないということの絶望でもあるのです。それでも、人々がこの天才とずっと一緒に居て手を放さなかったのは、もしかしたら給料のためだったかもしれないけれど、友達という想いだったかもしれないという一筋の希望が見えたりもするのです。
神戸アキコは孤高で有り続ける役をがっちり。時にコミカルに舞台を引っ張りつつも、しかしどこか気高さを漂わせ、しかし孤独な造型。 浅利ねこ、猪股和磨は想いを静かに持ち続ける側の枠組みをしっかりと。 坊主頭の森崎健吾もまた想う側だけれど、もう少し高い熱量を持っている造型。
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