【芝居】「スカパン」まつもと市民芸術館
2013.10.23 19:00 [CoRich]
アタシは初見です。 115分。27日まで、まつもと市民芸術館。
父親たちの留守の間に恋人を見つけ密かに結婚したり、ジプシーの女とつきあうようになる、二人の息子たち。当初の予定よりもずいぶん早く父親たちが戻ってくることを知った二人は、召使いで頭の働くスカパンにどうやって乗り切ったらいいか、あるいは金を工面するにはどうしたらいいかを相談する。スカパンは父親たちから金をかすめ取ろうと提案して、奔走して、成功する。スカパンは日頃の恨みを、ちょっとだけ晴らしたりもする。
が、父親たちはスカパンがかすめ取った金が恋人たちと暮らすために息子いに渡されたのだと知り、港町の労働者に金を渡してスカパンを叩きのめすように依頼する。実は息子たちが選んだ恋人たちは、実は父親たちが結婚させたいと思っていた相手だということがわかり、めでたく結婚を披露する。その場所に、息が絶えそうなスカパンが現れる。
実は元々の物語も、いままでの串田スカパンも知りません。物語はごくシンプルで、引き裂かれそうな恋人たち二組、頼まれてそれを助けるけれど普段は蔑まれがちな召使い、恋人たちのために危ない橋だってわたるけれど、実は恋人たちは何も心配することないハッピーエンド、という枠組み。当日パンフにあるとおりに、演出家の読み解いた結果か、あるいは原作がもともと持っているのかはわからないけれど、金を持っている父親、何不自由ない息子たちだけれど、父親の金で雇われている召使いを自分のものかのように、たいした考えもなく使う。対して、自分の頭で考え、自分の身体を動かしたスカパンの末路はまったく報われないのです。当日パンフに載っている「現代のこどもたち」というくくり方はあまりに乱暴な気はしますが。
とはいっても、若さ溢れる恋人たちは本当に眩しい。初老に造形されたスカパンとのコントラスト。軽妙に、しかし泥臭い魅力的な人物の奥行きに引き込まれるのです。
ジプシーの娘を演じる太田緑ロランス、決して恵まれた境遇じゃないけれど、奔放に笑い、話しちゃいけないことだとわかっていても止まらないというのがちょっといい造形。若い男、オクターヴを演じた内藤栄一は優男の造形がいい。レアンドルの父を演じた内田紳一郎は優しい、けれど召使いに厳しいという復讐される流れをしっかり。港町の労働者を演じた金子岳憲はどこか影のある印象をしっかり。 TCアルプの近藤 隼は厳格さカタブツという造形、内田紳一郎は愛すべきドケチな造形が印象的。
何より、劇場オープニングに引き続いて主演の串田和美、残念ながら二日間の公演キャンセルはあったものの、水曜日は新たな「初日」とでもいう日。そのカーテンコール、串田和美の涙につられるワタシです。
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