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2013.10.22

【芝居】「SEX,LOVE&DEATH~ケラリーノ・サンドロヴィッチ短編三作によるオムニバス~」日本劇団協議会(ナイロン100℃)

2013.10.20 14:00

若い役者たちで上演する企画公演・ラフカット向けにケラリーノサンドロヴィッチが1996年、2000年に提供した短編二つに、今回書き下ろしの一編を加えて行うナイロン100℃の若手+客演の若い役者たちを加えた公演。休憩15分を挟み135分。22日までザ・スズナリ。

風俗店の待合室。指名していないのにまだ出勤していない女を待っている男、命より大事なベースを抱えバンド男が帰ろうとすると、マジックミラーの向こう側に見覚えのある女が居る。 初めてらしい客の男が訪れる。プレイ中に生理を迎えた女で大騒ぎになり、出勤していない女は向かいの店の引き抜きにあっていると電話がある。いったんは店を出たバンド男がつれてきたのは、同じバンドのドラマーの女で、風俗嬢の一人が姉なのだという「13000/2」(1996')
3年前に受けた検査の結果が気になって病院に向かうと検査を受けた時点では余命2年だったのだという。 妻は心を病んで仕事を休んでいるが心ない言葉で非難する電話に悩んでいるが、2年前から浮気相手の男を同居させているのに、夫はそれを疑問にも思っていない。 ボトルを半分しか空けなかったからと気遣ってくれたバー店員の一言、行きつけの床屋の店主が笑わせてくれる一言が嬉しい。 妻は自殺してしまった、もう死んだ命なのだからもういいか。「死んでみた」(2013')
南国のホテルのロビー。ラブワゴンの番組一行が泊まっているが、週に一度の船を待ち足止めを食らっている。たばこは法律で強く禁止されているが、道を間違えていると非難される運転手がロビーの片隅にあう鉢植えの植物に火をつけて吸えばいいという。 撮影機材は壊れれてしまっていて、カメラマンが修理するというが、様子がおかしい。成立したカップルの男は他人には見えない妻の姿におびえ始める。「スモーク」(2000')

たぶん拝見してるはずなのだけれど、見事に記憶がないアタシです。それでも、若い役者たちをで短編群像劇というフォーマットが、ラフカットらしいなぁと思うのです。少しのデフォルメとそれぞれの役にきっちり見せ場があるというのも、ラフカットの趣旨を見事に具現する仕事の再演。

「13000/2」は眼福な薄着の女優たち。仕事を抜け出して来ているらしいスーツ姿、ベース抱えたバンドマン、あるいは劇団員とかといったさまざまな客たちと、引き抜きに会いそうな贔屓だったり、秘密にしているここでの仕事がばれるということだったり。それぞれの物語がわりと個別にあって、物語の幹になっていかないという意味では少々食い足りない感じはあるのだけれど、なんせこの時間にこの人数、役者たちを楽しむというのが吉なのだなと思うのです。

バンドメンバーの姉が風俗嬢、というのに見えてもうひと味加える幕切れの向こうのハーフミラーの部屋での混乱もなんかわちゃわちゃして楽しい。バンドマンの知り合いの風俗嬢を演じた水野小論は見るだけでいろっぽさがむんむんと。そのバンドマンが贔屓にしてる風俗嬢を演じた菊池明明はさっぱりした造形がまた素敵。会社をさぼって風俗店に出入りする男を演じた森田甘路は巻き込まれ感が実にいい味。バンドマンを演じた須貝英はどこか突き抜け切れないアマチュアミュージシャンっぽさが印象的。

新作「死んでみた」は不思議な仕上がり。一人のメガネな男・村田を複数人で演じてみたりしつつ、自殺した男をめぐり、バーだったり床屋だったりでの日常を生きている姿と、心を病み浮気の挙げ句に自殺した妻との物語を交錯して描きつつ、3年前の検査の結果でもう余命は過ぎていると聞いて「死んでみた」フラットな感覚。観てる最中は実はよくわからんなぁと思いながら観ていたのだけれど、あとからじわじわときます。男の心情の起伏を、しかしあくまで静かに描き出すというのは、新作らしい感じ。

男が気に入って通っているバーでは店員は陰で客が経るからいやだとおもっていたり、おもしろい世間話が気に入っている床屋の理髪師は実は何が受けているかさっぱり判らないというあたりのギャップがおもしろい。浮気相手が同居したまま2年も経っているのに、知らない人が同居しているのが不思議だと思うだけだったりの、すこしばかりのボケかたもそうなのだけれど、自分のみたいものだけが見えているという、誰にでも多かれ少なかれあるような感覚が具現化されて描かれているのも印象に残ります。

「スモーク」もまた群像劇。時代を感じさせる「あいのり」のラブワゴン一行とスタッフたち。恋愛のリアリティ・ショー自体のリアリティ枠組みはそのまま受け入れた上で、その裏側の悲喜こもごも抱えたうえで、機材は故障し、離島で移動の長い待ち時間という、エアポケットのようにすっぽりあいた空虚な時間。そこに持ち込まれる煙。タバコを異常に禁止するというシチュエーションも巧くて、明らかにヤバいものだけれど、南国ならばやっちゃいそうだし、楽しくなっちゃう人々、脱出する人が居そうになってもそれすらラリっててわちゃわちゃと終わる物語もまた楽しいけれど、群像劇らしく、そういう中にも自殺を企てる人が居たりというそれぞれの人生が描かれているよう。

物語の幹、というのは弱めで、沢山の人が居ることを見せるという感じではあるのが今作も少々食い足りなくも感じるという点ではこれもそうなのですが、それぞれの役者の個性が見えるようで楽しい。なにより、ホテルの現地人従業員を演じた森本華が舞台の上で何をしていても気になっちゃうぐらいに印象的でなにより可愛らしい造型。色気過剰で押すレポーターを演じた水野小論、水着が眼福な木乃江祐希、恋に破れて泣くぽっちゃり女子を着ぐるみで演じる菊池明明みて、切なくなっちゃうのです。

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