【芝居】「大画質」げんこつ団
2013.9.7 14:00 [CoRich]
げんこつ団の新作。8日まで駅前劇場。120分。母親から臍の緒が切れない人々や、消えた中間管理職の野生化、霊能力に頼った操作や強引なノー残業デー、マイナス思考禁止法案など、ちょっぴり毒を含んだようなオフィスや街角の風景の描写。時に底意地悪く、時に批評的に作家がえがく世界は相変わらずのげんこつ団節。毒はひところに比べればずいぶんおとなしくなった感じはするのだけれど。
病院で受診しようとすると、就職の面接風に志望動機を聴かれたりして、入社ならぬ入院したいと訴えると、働かされちゃうっていうのが今っぽい感じがしてちょっといい。エレベータのボタンを押してあたりがでると希望したフロアにもう1フロアおまけ、というコネタも結構スキ。
あるいはノー残業デーで帰れと促されるどころか脅される始末だけど、明日までに仕上げなきゃいけない仕事は確実にあるしそれを仕上げないと自分のクビが危ない、というのまあよくある会社員の風景のデフォルメとして面白い。
パロディ風味のネタは冴えていて、オフィスに新人で現れたのがどうみてもガラスの仮面・月影先生で、まわりが勝手に紅天女を心配して、自分がそれに出たいとまで浮き足立つというネタだったり、著作権ゴロのネズミがモザイク付きで登場してブラック企業だと訴えたりなんてネタもきちんと切れ味。
キャスト、団長も久しぶりに出演が嬉しい。植木早苗の圧倒的な安定とバリエーション、春原久子の実直な感じ、大場靖子(社長とは知らなかった)のコミカルを様々に演じ分ける多彩さ、川端さくらの(見た目に)女子力、久保田琴乃の若い男の子感。ずいぶん久しぶりにここに(緊急で)出演の菊川朝子はギャップを感じさせない溶け込み、きちんと。
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「夜明けのジルバ」トローチ(2025.03.08)
- 【芝居】「ユアちゃんママとバウムクーヘン」iaku(2025.03.01)
- 【芝居】「なにもない空間」劇団チリ(2025.02.27)
- 【芝居】「Come on with the rain」ユニークポイント(2025.02.24)
- 【芝居】「メモリーがいっぱい」ラゾーナ川崎プラザソル(2025.02.12)
コメント