【芝居】「ケンジ先生」キャラメルボックス
2013.9.22 18:00 [CoRich]だんらく 劇団結成11年目の1996年初演(公式)、1998年再演(公式)のキャラメルボックスで子供向けとして上演されたものを、三演めにして大人向けに作り直した、という90分。キャストを完全ダブルキャストで一新、両方のキャストを混ぜて上演するミックスキャストステージも設定。25日までサンシャイン劇場。
例によって記憶がザルなあたしは初演、再演からどれほど変わったかは今一つぴんときません。わりと賑やかに歌うシーン多かったものが減ったような気もするし、物語の上では歌手が失った親友の話など身近な死をめぐるエピソードを強めた気もしますが、確かではありません。とはいえ、初演の公式ページにある物語の運びは細かいところに手を入れているものの殆ど一緒、大人のために、とはいっても子供でもちゃんと楽しめる物語なのは変わらず、安心のパッケージ。
当日パンフで作家が言うとおり、教師の理想像なんてものはそもそもあるのだろうかという問いかけであったり、あるいは忙しすぎる日常から、時には仕事から逃げてもいいのだということだったり、云いたいことを云うことだったり、合理主義の行き着く先のある種の怖さだったりをシンボリックに描くのは、子供向けといわれる初演からあるエッセンスなのだけれど、改めてみてみれば、大人にこそ、という内容でもあって、そういう意味では物語の奥深さのようなものがきっちり。
もともとZABADAKの楽曲の多い芝居ですが、小峰公子の新録による「不思議な先生」はまったく別の印象に。軽やかで広がりのある印象は、どこか岩手山のふもとに広がる景色を思い起こさせます。
よく言われることだけれど、おばあちゃんがが名乗る旧姓、カキモトクリコは劇団の名作「広くてすてきな宇宙じゃないか」に繋がる名前。日曜夜のどんぐりキャストでおばあちゃんを演じた石川寛美の当たり役でもあって、その両方を、というのもまた感慨深い。普段の公演に出る機会が減っているベテランをこういう形で拝見できるのも短い公演の魅力。そういう意味では、古道具屋の店主を演じた西川浩幸にしても、母親を演じた大森美紀子にしても圧巻の安定感で脇を固めています。ケンジ先生を演じた左東広之、娘を演じた林貴子はどちらかというと賑やかさの印象があるけれど、もう一つはどうだったのだろう。プロダクション社長を演じた岡内美喜子、用心棒を演じた畑中智行はもちろん物語を支えるけれど、店のアンドロイドなどのコミカルパートを支えるのもまた「カーニバル」っぽいお祭り感があって嬉しいのです。
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