【芝居】「ピノチオのひげ」ハムプロジェクト
2013.9.16 18:00 [CoRich]
札幌のハムプロジェクトが東京の役者たちとワゴンで巡業する企画公演( 1, 2)、9ヶ月ぶりの松本。90分。松本は17日まで。50メートルの防護壁で囲まれるようになった日本。中学生女子はある日、このままではロクな大人にならないと気づいて世界を見て回るために旅立つことを決める。幼なじみのいじめられっ子は影ながら応援する。時空を超えて空から落ちてきた古びたカバンと、それを追ってきた未来からの男も加わって。
中学生の元気のいい女の子の冒険しようという気持ち、男子は情けなかったり喧嘩ばかりだったりとまだ幼い感じだけれど、女の子はこのままでは「ロクな大人にならない」という、一歩先に大人になっていきつつある感じ。でもお金をそう持っているわけでもなく、体力だって知れているわけで、せいぜい歩いていける隣町までの冒険が精一杯。気持ちに体や実力が追いつかないという中学生の「伸びしろ」な時期の感じが、ほんの少し切なく、しかし瑞々しい。
正直に云えば、信濃ギャラリーでは全体にがちゃがちゃしていて、物語がシンプル(というよりは三畳から上演可能というポータブルな芝居だからそうするざるを得ない、ということだと思いますが)落ち着かない感じではあります。それでも時に祝祭に溢れ、時に手に汗握る(というほどではないけれど)チェイス、時に人形劇とさまざまにしながらきっちり物語を紡ぐのです。
終演後に会場内で設定された交流会。訊けば上演したところで、次の公演の地の候補を地元の人に訊いたりするということで繋いでいるといいます。笑っていいとものテレホンショッキングがその場で決めていると信じられた頃のようなわくわくする感じ。そもそも、バン一台に装置も何もかも詰め込んで旅をするというのは、たいていの男子は憬れることじゃないか、ということで芝居に対してちょっと上乗せして楽しい気持ちになっちゃう、というのも事実なのです。
ちょんまげの男を演じた白石直也は濃密な芝居で物語を牽引します。 中学生女子を演じた渡辺友加里もまた、瑞々しくきちんと大人の一歩を踏み出したという女子の心意気を感じさせる造型。設定されたご当地ゲストの熊谷千尋、昼の回では一回合わせただけで舞台にあがったといいます。夜の回でも怪しいところはありますが、きちんと。
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