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2013.08.16

【芝居】「なべげんっぽい三人姉妹」渡辺源四郎商店

2013.8.11 14:00 [CoRich]

毎週日曜日の上演を4週間繰り返すという、地元のみでの上演のための企画公演。11日までアトリエグリーンパーク。80分。千秋楽は早々に完売で夕方に追加公演を設定。

3時間を超える上演が多いチェーホフの戯曲の骨子や登場人物もほぼそのままに、ぎゅぎゅっと半分以下に圧縮。芝居の成り立ちのような解説もつけて。どういう魔術かはわからないけれど、ともかく一応の流れをきちんと見せるというのはちょっとすごい。

モスクワから離れて暮らす三人姉妹は「ともかくここではない、ここよりはいいだろうどこか」に憧れ続け、その象徴としてモスクワ、という場所を言い続けます。今回の演出では天井からモスクワっぽいオブジェ(デコレーションケーキを逆さにしたようにも見える)が吊られ、「モスクワ」という台詞のたびに、全員がスポットライトを浴びたそれを見上げます。頭の中に思い浮かんだであろうそれぞれの「モスクワ」という感じ。

長女を演じた工藤由佳子、行き遅れた(失礼、ホントに)引け目感が似合うのが素敵。ゴメンナサイ。次女を演じた三上晴佳は背骨の一端を背負うけれど三人姉妹の普通の解釈である奔放になりきれないのは作家やドラマターグの解釈なのか、あるいは役者のキャラクタなのか判らないけれど次女の見せ方としては珍しい。 三女を演じた夏井澪菜は可愛さを前面に押し出した造型で、安心して観られるイリーナをつくります。 長男の妻を演じた奥崎愛野は序盤の控えめからの立場の変化による豹変のダイナミックレンジがいい。 男性の俳優が少ない座組において、本当は男性の役というのを女優(山上由美子、秋庭里美、西後知春)に振るのは仕方ないこととはいえ、今いとつ効果が見えづらいのが残念。工藤良平は人の良さが前面に出ているし、佐藤宏之は静かに支えるような雰囲気など、男性を女性たちの憬れよりも女性たちの気持ちを支える感じなのはちょっといいのです。

正直にいえば、役者の技量の差が意外なほどについてしまうのも残念ながら現実。普段のオリジナルならば、役者の力量やキャラクタにあわせて、ということも可能でしょうが、要所の台詞(の骨子だけにせよ)を戯曲に縛られる既存戯曲では、役者が言い慣れない台詞もあるわけで、役者の個性に引き寄せるまで至らないと相当に厳しいとも。

青森市を拠点にして、そこで生業を別に持ちながらも高校生を含め役者を育て、東京に持ってきても遜色のない作品を作り続ける彼らです。三人姉妹という物語の中で、地方と東京という構図が見えるように作るのだろうなというアタシの勝手な予想は外れました。トークショーによれば彼らはこの土地で暮らし、生き続け、しかも芝居を作るという道(とはいいながら、まあ、東京での活動をしている人も多いのだけれど)を選んでいるのだといいます。東京をあこがれの場所とするのではなくて、ここでちゃんと暮らしていくという心意気、と思ったけれど、それはきっと心意気でも何でもなくて、ごく当たり前のことなのでしょう。東京に持ってきてよ、とか東京に行きなよ、というのはなんて独善的なことだろうとも思うのです。

おお維新派、福岡のギンギラ太陽'sにしても、あるいは(たぶん東京の施設では作れない)松本の空中キャバレーにしても、東京の芝居の巡演というのとは別に、ここに来なくちゃ見られない、という演目が増えていくのは、本当はとても豊かなことだなと感じる昨今なのです。行き慣れた街、というのが何カ所かあるっていうのはちょっと気に入っています。もっとも観客は確かに大変だし、今のところはなんとかなっても自分の経済が立ちゆかなくなることもあり得るわけで、そうすると会えなくなっちゃうんだよな、ともおもったりするわけですが(笑)。

横浜・東京を離れて信州で暮らすようになって3年がすぎたアタシですが、離れた瞬間から今なお東京とか演劇というものから離れられずに週末ごとの上京を繰り返しています。平日は地方暮らしをそれなりに楽しんでる(まあ呑んだくれてるだけ(笑))つもりですが、それでも観光地としても名高い信州に居てもなお、未練がましい感じだなとも自覚されられたりもしたのです。

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