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2013.08.26

【芝居】「第三次性徴期」親族代表

2013.8.17 19:00 [CoRich]

何年ぶりか、という親族代表のライブ、初めてのスズナリ。100分。18日まで。

移動を命じられた先はいわゆる追い出し部屋で「AIR...」(作・佐々木充郭)
だるまさんが転んだ、と遊ぶ子供だが実はそのルーツとなった男が居て「だるまさん」(作・川尻恵太)
引っ越し会社、社員の一人は若い女性の下着を必ず盗んできてしまい、それを返却に行くのは課長で「シマムラ 引越センター」(作・ブルー&スカイ)
職質を受ける男、チャンピオンになるのだというが「IWGP」(太一人番外編/作・佐々木充郭)
バーに来る男の悩み、全身では泣いているのに、涙だけが出てこない「泣きながら15分で書きました」(作・前田司郎) 自分の金を使い込んだスナックの女性に怒る客。彼女が云うには新聞を読んで憤ったことがあって、ならば世の中を変えるしかないと選挙の供託金にしたと「小川町二丁目1333番地物語」(作・福原充則)
誘拐した子供に目を離した隙に逃げられてしまう犯人たち。でも母親は身代金を持って待ち合わせ場所に向かってしまっている「竜太」(作・ケラリーノ・サンドロヴィッチ)

どちらかというと小劇場界隈な役者のコントユニットに、豪華な作家陣。あとからみればああ、作家らしさが出てるなとも思ったり。

「AIR..」は会社員として明日は我が身な追い出し部屋、何もすることがない日々の圧迫、というその特性を文字通りに空の企画書で「ごっこ遊び」のようにという逆手の取り方。企画書がややそれっぽい感じの中身を感じさせるのが勿体ない気もして、これがホントに空虚なものなら更におもしろいんじゃないかと思ったりもするけれど、それじゃシティボーイズか。裸の王様と王様の耳はロバの耳、という微妙に似てるような似てないような童話をごっちゃにするのがおもしろい。

「だるまさん」は誰でも知ってる遊びを根っこに。子供の死を戒めるのだといういい話に持って行くかとおもいきやあっさりとどうでもいい話にうっちゃるのがおもしろい。

「シマムラ〜」は単に下着ドロな引越業者にそれを返却するためだけに女性の管理職を置くという発想のぶっとび具合がさすがにブルースカイ。その女性をなぜ雇い続けるのかの疑問は劇中で語りつつも、竹井亮介演じる下着ドロをやめられない完全にダメなオジサンをなぜ雇い続けているのかというあたりをスルーするのに観ている最中はそれを疑問に思わせないのが見事。ややうつむき加減で地味なスーツ姿に造形の課長を演じた峯村リエがやけに色っぽく。

「IWGP」は、40歳が、あきらかに目のないボクシングでリングに立つぐらいのことを心底信じてるというオジサンのダメさというか無謀さの嶋村太一の造形がいい。ポジティブもここまでいけば、というのも笑えるけれど、アタシだって職を失って、もし何かそういう夢を信じてしまえばやりかねないんじゃないかとちょっと怖くなったりもして。

「泣きながら〜」はバーで話す男ふたり、ひとりが気持ちは泣いてるのに涙が出ないという悩みがなんか深刻っぽいのに、涙は尻から、目からは精液っていう病気なのだという無茶な展開。それをオチにしてもいいところから更にヤブ医者だと決めつけてその語源という蛇足感が楽しい。

「小川町〜」いわゆる泡沫候補のワンアイディアから始まって、上り詰めちゃう感じはなんかスーダラ節が聞こえてくるようで楽しい。よく考えたら、それもこれもすべて女のために、という壮大な、しかしこうなると笑えるを通り越して凄みを感じさせそうな話なのに、どこかなよっとした野間口徹(すっかりテレビの人だ)の造形が見事なのか微塵も感じさせないようにするのがちょっといい。

「竜太」は子供もおばちゃんも見事に両方こなしてしまう峯村リエがあってこそ、という話。犯人三人組があからさまに負けてるのがおもしろくてバランスがいいのです。

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