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2013.08.05

【芝居】「四畳半ベンチプレス」小松台東(ex. デフロスターズ)

2013.8.3 15:00 [CoRich]

デフロスターズから劇団名を小松台東(こまつだいひがし)に変更して初めての公演。なぜかドリルチョコレート丸投げ公演、というタイトルがついていますが。4日までOFF OFFシアター。

部活を引退した高校生。就職か進学かも決め切れておらず、時間を持て余して家にベンチプレスを買って貰って、久しぶりに中学時代の友達を呼んだりして、プロレス話に花を咲かせたりしている。学校の近くということもあって、クラスの同級生やその女友達たちが放課後にたむろしたり、タバコを吸いに来たりしている。

OFF OFFシアターに男子高校生の一室、上手側に別室という設えでベンチプレスの道具。

部活でそれなりの成績だったりもしたけれど、おそらくは部活一筋だった男はいざ部活を辞めてみると、自分はなにになりたいのかどうしたいのかもまったく決まっていない感じ。プロレスは好きだから鍛えてみようと思ったりしつつも、母子家庭の母親は苦しくても大学進学させたいと思ってて、その想いだってわかる。中学校の時の友達と久しぶりに遊んでみたり、それは実に安心だし懐かしい時間だけれど、自分の部屋が学校にちかくて、ろくに話したこともないような、タバコを吸う同級生がたむろするような場所になること。

チラシによれば作家自身の昔の話が下敷きだといいます。キャッキャと遊ぶ(ホモソーシャル的な)中学の同級生との安心できる感じ、あるいはあまり苦手な感じのやや不良っぽい男やその取り巻き、あるいは女の子たち。それまでは部活でマスクされていた友達とかコミュニティの変化といったものを通過する大人への階段。

未見だけれど「桐島、部活辞めるってよ」のようなスクールカーストが存在する残酷さ。それを何かの正義といったようなもので形にせず、ある種放りっぱなしに淡々と描くのです。 別の高校に進んだ中学時代の同級生はあきらかにイジメにあっているし、夢遊病のようにこの家までやってきたという強烈なストレスを受けているにも関わらず、彼についての物語がなにも解決しないどころか、主人公自身が、そのイジメにすら言及しない(気づいていないかもしれない)のは、主役以外がその瞬間に「背景」になってしまう危険性があって、物語としては正直あまり巧いつくりかたではない気はします。しかし、主人公を作家自身が演じることで、もしかしたら作家自身の友達がこうだったかもしれないと思い至ると、気づいているのに見捨てたと読みとれるこの構図は相当に恥ずかしいというより忘れ去りたい過去を誠実に描いているのだと思うのです。もちろん、そうではないのかもしれませんが。

地味な描かれ方ですが、工場に勤めることが決まっている寮に住んでいる同級生(緑川陽介)の描かれ方もちょっといいのです。この不良に取り巻いているけれど、あと半年すればこの狭い世界からは解放されるのだし、もうこれは断ち切りたいのだから、自分がどこの街でどこに就職しようとしているかなんてことに口を割らないという感覚は実によくわかるのです。

アタシにとっては(世間としても学校が荒れていた)中学校の時の不良や怖い先輩の面倒くささ、逃れたい感じといったスクールカーストのあの感じがよみがえったりもします。

中学の同級生を演じた佐藤達は序盤での主人公とのホモソーシャル感が楽しい。そういう意味ではこれは子供の時代の象徴でもあって、見事に演じきります。 母親を演じた異儀田夏葉は、前回に続いて二度目の母親役。やさしくて気遣いもあって、しかし厳しくて息子には期待して、というある種理想の母親像。高校生の息子という年代の役者ではないはずですが、ある種のダサいオバちゃんなファッションも実に楽しいし、それが痛くならないうえにそういう人物に見えてくる、という確かなちから。 同級生の女の子を演じた墨井鯨子もあまり変わらない年齢のはずですが、これはこれで逆張りの妙。自意識と不器用さが絶妙な高校生のオンナノコを体現。対比するように、 その中学の同級生を演じた柴田薫はこの座組では可愛らしさが前面にでますが、もっと早く大人の階段昇ってたりという感じ。

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