【芝居】「Still on a roll」FUKAIPRODUCE羽衣
2013.7.20 15:00 [CoRich]
FUKAIPRODUCE羽衣の新作。21日までこまばアゴラ劇場。110分。
夜の街角にたたずむ男は、恋人の若いホステスの仕事終わりを待っている。男が想いを馳せた田舎の村を訪れた孤児の兄妹は盗んでくればいいのに働いて食べている大人たちをバカだと思っていたが、そんな兄妹を優しく家族のように受け入れる牧師一家。受け入れられるかに見えたが、妹は病に倒れてしまい、兄は小さな舟で川下の大きな街に行き医者に見せようと考える。
深夜、バイトに出かける女には二人の息子が居て、育てるためならばどんなにつらいことだって頑張れる。
場末のスナックでは騒がしい客に混じってホステスを口説く客が居るが、妊娠を告げると消えてしまう。
深夜のラーメン屋、母は働いていて、ホステスと恋人が、兄妹がカウンターに座っている。
ミュージカルの仕立て。恋心だのもっと下世話な色気だのが割と前面立つ彼らの持ち味で、そういう感じの部分も多いけれど、中心に据えられている孤児の兄妹の物語はそういうことはなくて、子供が育つこと、みたいな感じでの描かれ方で、今までにはあまり観たことがないような感じ。そういう意味では王道のミュージカルっぽいともいえますが、彼らのいう「妙ジカル」とはちょっと違う感じ。
孤児の兄妹、若いホステスと恋人のおっさん、それに子供を育てるために深夜のラーメン屋でバイトする母親、という三軸が、深夜のラーメン屋で交わる瞬間という夜の都会の片隅の刹那の雰囲気こそが、描きたかったことなんだろうと思うのです。
正直にいえば、村で働く人々の話は兄妹のバックグランドを描くように使われているけれど、この部分の物語は、「人々はそれでも暮らしている」ということは描いていても、全体の物語の構造にはあまり寄与しないようにも感じて少々バランスが悪い感じは残ります。 ホステスたちの切なさ、恋人との会話といったあたりはわりと好きなのです。もう一つ正直にいえば、客席に囲まれる舞台だけれど、じっさいのところ、演出席がここにあったんだろうな、というのが見えてしまうぐらいに囲む客席に対する配慮は意外なほど少ない、というのはちょっと残念。
兄を演じた森下亮がきっちり格好良くて。母を演じた伊藤昌子はたっぱもあるし、意外に割烹着が似合うのもちょっといい。おっさんを演じた日高啓介もいい味わい。
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