【芝居】「ライクアプラスチック」あひるなんちゃら
2013.7.20 19:00 [CoRich]
あひるなんちゃら、初のスズナリ。75分。前回に続いて観劇回のMP3データの販売サービスはマイクなどの機材が充実して実にクリアで嬉しい。20日まで。
漫画家のテヅカはアシスタントたちに先生と呼ばれないのに少々悩んでいる。ドラマ化の話が舞い込んでいるが、まだ不相応だと思って断ってしまうが、アシスタントや担当編集は残念に思う。テヅカの友人の漫画家と締め切り明けにドライブに行くが、それは少々遠かった。テヅカの別の友人とその恋人が遊びにきて映画でも見に行こうという。
スズナリ初進出。期間は短くなってしまったけれどそれでもわりと入っている感じ。舞台全体ではなく、あえて余白を残すように舞台中央をこじんまりと使うこと、役者の地力もあってすかすかにもならず、OFF OFFや駅前といった規模の濃縮感がそのまま舞台に乗っている感じなのは、当たり前に見えて実は結構すごいことだと思うのです。変わったのは客席に座る観客の数で、はまれば笑い声がグルーヴのような圧力を生んで、いままでとはちょっと違う印象になります。もっとも、これは回によって、観客によってずいぶん変わる気もします。
テヅカと名が付く漫画家が居たとしても先生とは呼びづらい感じとか、テヅカといえばベレー帽をややぽっちゃり女子がかぶればジャイ子という感じがおもしろい。演じる篠本美帆はほぼ出突っ張りできっちり主役を担います。あるいは担当編集二人。伊達香苗が演じる後輩編集者は自覚無くにこにこと次々と失礼だったり暴言だったりを吐きまくるのに対して、それを窘めるのが松木美路子演じる先輩編集者は静かに「殺すぞ」的なことを繰り返し。あまりに繰り返されすぎて、もうそういう罵詈雑言が出てこないのも楽しい。宮本奈津美が演じる友人の漫画家、クタクタに疲れて戻ってからのテヅカとのやりとりのリズムが好き。
物語としてなにも残らない、えげつない笑いではない、日々の会話がずれていくこと、それを気づかなかったり修正しようとしたり、という普通の人がおもしろいのだ、という感覚。あひるなんちゃらはそれをデフォルメして見せてはいるけれど、そういうずれる感覚をおもしろい、と思う感覚こそが、主人公・テヅカが云う身の回りの人々を描いてきたいと思う感覚。珍しく作家のポリシーが回まみえる感じがして、印象的なのです。
前回に引きつづきMP3の販売。USBメモリも用意しているというのは親切。前回に比べると格段に聞きやすくて、帰り道で聴きたいばかりに、ICレコーダーにUSBで繋いでもらってコピーして帰路が実に楽しいのです。
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