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2013.07.13

【芝居】「ミニスカーツ」犬と串

2013.7.7 19:00 [CoRich]

短編集で構成された休憩10分を含む120分。9日まで武蔵野芸能劇場。

選手入場っぽくクレジット。下ネタなど禁じ手にすると宣言。
殺人事件を追う刑事たち。容疑者に浮かび上がったのはラーメン屋の店員だった「新宿〜SHINJUKU〜」
出場辞退に追い込まれそうな野球部、サボっている部員に声をかける教師「野球部」
日本の女たちは骨が弱くて、可愛い服が好きで、漫画みたいな恋もしたくて、黒船もやってきて「GIRLY GIRLY」
父親、女子高生の娘。ザッケローニ、といわれて、延々一人語り。「超ノリツッコミ」
グズグズな芝居、ホンは遅く、役者はバイトで疲れていて。ぐだぐだ。「OCEAN〜失われし七つの秘宝」
(休憩)
子供の頃の、チャーハン、気がついたら大人で会社員で。そのあいだに何があったか何一つ覚えていない。「キヲク」
ビフォーアフターでリフォームされた家。でも、壁、屋根もない、「匠の技」
老人たちの恋愛バラエティー「老いのり」

芝居と云うよりはコントに近い構成、物語よりもワンアイディア、それを高いテンションの役者が演じ続けるというのが持ち味。

「新宿〜」ラーメン屋の店員たちやガソリンスタンドの男の役は、まともな台詞ではなくて店員の口調で注文取ったりというまったく違う台詞なんだけど、口調や動きだけで、ちゃんと何云ってるか想像がついてしまう、というワンアイディア。それを高いテンションで持続することでねじ伏せるように成立させるという力業。同じ言葉が繰り返されるけれど、それが別に繋がってるわけではないというのは惜しい。正直にいえば、そのワンアイディアとテンションだけで持たせているという割には少々長い感じも。ホステスを演じた渡邉とかげは新宿と云うより銀座なテンションだけど、微妙にホステスに見えない感じがおかしい。ラーメン屋店員を演じた中田麦平のこういうテンション芝居はなかなか観られないけれど、どうしてどうして、きっちり何の問題もなく。

ショートな一本「野球部」は客席に向かって会話している教師と生徒。台詞としてはごくありふれた青春物語な静かな会話なのだけれど、その男が舞台奥を向くと背中が半裸というワンアイディア。台詞の普通さ加減と見た目の可笑しさのバランスがよくて、短いこともあって楽しい一本。

「GIRLY〜」は見目麗しい女優たち。骨が弱いとか、可愛いとか、男の子を観て格好良かったね(で観てる相手が黒船のペリー提督だったりする)だったい、縄跳びで飛び跳ねるさまだったり、デートしたいだったり。女の子っぽくさまざまに詰め込み、脈略なく並べられた断片たち。それぞれの断片に意味があるというよりは、女の子ってこういうもの、を並べたような感じ。

「超ノリツッコミ」は、ザッケローニか、という娘の一言で始まりながら、 あとはそれに延々と乗っかった長い長い台詞を独りで喋り続け、最後にすとんと「誰がザッケローニやねん」と落とすワンアイディア。この長い台詞を、淀むことなく、少々の笑いも取りながらきっちり演じきる塚越健一がちょっと凄い。

「OCEAN〜」は準備不足な上に疲労困憊、あるいはやる気ゼロという最悪なコンディションで芝居をさせるということの作り込みは病的なほどに完成度は高く、そのワンアイディアは成功しています。滑舌の悪さを作り込むというのもちょっとおもしろい。

「キヲク」も、子供の頃の食べ物の記憶、というキーとなるひとつを延々繋げるという仕掛けをやりきります。

「匠の技」はリフォームしたと思ったら、大黒柱はあるけれど壁も屋根もありませんでした、というのが見えてくるのが醍醐味。アタシの友人が云うとおり、コントとして成立させるためには、最初でリフォームした家ということをきっちり共有しないと面白くならないのだけど。

「老いのり」は、「あいのり」を年寄りたちにやらせるというつくり。これもワンアイディアで押し切ります。ギャルサーを演じた塚越健一、車いすの女を演じた鈴木アメリ、おしめをしてる男を演じた中田麦平の造形の解像度の高さ。

ワンアイディアの発想のおもしろさと、それを無駄なほど作り込む気力、延々繰り返すことを恐れないという勇気はたいしたものです。コントのつくりではありますが、最初に提示したワンアイディアを繰り返しただけで終わってしまうのは、コントとしての破壊力にも欠けると思うのです。面白がりポイントがわかりにくくなってきたのか、アタシ。歳とりましたね。

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