【芝居】「月刊小玉久仁子 7月号」ホチキス
2013.7.7 14:00 [CoRich]
小玉久仁子をフィーチャーする企画公演。月刊と銘打った創刊号。一人芝居3本で構成。75分。サニーサイドシアター。
私はなぜここに居るのかわからない、みんな何のために集まってるの?
司会が急に倒れ急遽代役で現れた女はなぜかウエディングドレス姿でしかもどうも知り合いらしくて「ウエディングドレスの女」
警察の取調室。連続放火事件に巻き込まれた人を救助した男が犯人を目撃したとして婦人警官が似顔絵描くために聞き取りをしている「似顔絵描き」
私、久仁子といいます「彼女の長い略歴」
東京が温泉怪獣に襲われる。出撃を養成されたが、今日お義母さんは来るし、夫は帰ってこないし、息子は落ち着きがないし「スーパー母さん」
小玉久仁子という役者の一人芝居といえば、圧巻で印象に残っているのは2010年の空想組曲の短編集での日替わりですが、それと同じような、少し違うような。
「ウエディング〜」は空回りしながらもそれを力業で押し倒すようなテンションと、元カレへの未練たらたらな乙女心のないまぜ、そういう意味でもっとも勝ちパターンなつくり。明かりが当たればウエディングドレス、という多少の出落ち感からスタートしつつも、着ているのが司会、しかも元カノという何段にもひっくり返す序盤のワンアイディアと、ウエディングドレスに日本刀というキル・ビル風味の見た目のギャップが命綱な一本。強引さで押し切るというよりは、想い出語りの繊細さゆえに回によってそうとう見え方が違ってしまうではないかと思います。
「似顔絵〜」は犯人の目撃者からの聞き取りという体裁。似顔絵ってものの力を絵で見せる序盤のコミカル、わりとそのどれもが巧いのも楽しい。割と早々にそれが目撃者ではなくて容疑者なのだというのが割れてしまうのだけれど、手練れの作家、そこでは終わらずもう一歩踏み込むのが楽しいのです。そこから見えてくる彼女の本性。それはもう明らかに狂気の領域だけれど、それゆえに想いの厚みを感じさせて見応えがあるのです。
「スーパー母さん」は、割烹着のまさにかあさんが地球を守るけれど、夫もお義母さんも、子供の面倒も見なきゃいけない。それは別にスーパー母さんだからじゃなくて、働いてるお母さんだって、いや主婦だっててんてこ舞いなのでだということを背骨に。終盤に至りキレてしまった彼女が沈黙のまま、静かに(スペシウム的な)光線で街全体を破壊する、というややシュールがちょっと好きだったりします。
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