【芝居】「雨の街」二騎の会
2013.5.11 15:00 [CoRich]
多田淳之介と宮森さつきのユニット。110分。19日までこまばアゴラ劇場。雨の日のは割り引くという企画も行っています。
雨の街、玄関の前に倒れていたという男を介抱し部屋に招き入れた女。何日かが経ち男は目覚めるが、自分についての記憶がなく、持ち物の運転免許に書かれた名前も自分のものとは思えない。女によればそれまですんでいた世界の、ゆがみのこちらがわにきてしまった、戻り方は判らないのだという。 雨が降り続きやむことのない街で、必要なものがあれば商人と名乗る男が持ってきてくれる、金も要らなければ電気もなくて、なにも時間をつぶすことがないままの毎日を暮らしている。女は窓の雨をみつめている。
なにもない街、そぼ降る雨を見つめ、お茶を飲むばかりの毎日。女は一緒に住んでいた大事な男が「透明になった」がいつも近くに居て寄り添ってくれるのだといってその人の分のお茶を用意する。いつかは人間「透明になる」のだから、そうなってから悲しむのではなくて、それを受け入れられるように準備をすべきなのだ、という感覚は、私もわりとイイ歳なわけで実感をもって感じられたりはするのです。
正直にいえば、このゆがんだ世界でゆるやかに死を迎えるための、驚くほど毎日同じような毎日を過ごしているということを淡々と描かれているのが、アタシには少々しんどい。それは男が感じている、女がなにを考えているかわからないということを描きたいのかもしれません。物語がほんとうにおなじところを延々ぐるぐると廻っているような感じで進まない感じなのは、そういう意味では成功しているのでしょう。まだ大切な誰かを一緒に暮らすということ、あるいは看取るということを経験していないから、気持ちの本当のところに寄り添える感じがしないから、という気がしないでもないのですが。
佐山和泉が優しく穏やかで居続ける、というのはちょっと珍しい感じで最初は驚くけれど、その穏やかさがやがていい雰囲気に。山内健司、永井秀樹、大竹直というそうそうたるキャスティングも凄くて、この不思議な世界の住人、という説得力は十分に。
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