【芝居】「泥沼ちゃん」散歩道楽
2013.5.25 14:00 [CoRich]
15年目にして初めての劇団員だけの公演という115分。26日までOFF OFFシアター。
気がつけば女は「こんなこと」になっていた。
ハーフでもないのにドロシーと名付けられた少女は当然のようにいじめられ、かばってくれた女の子と親友になるが、クラスメイトを癖があってほかに友達の居ない彼女からは中学高校と距離を置いていった。モデルになったけれどぱっとせず、なし崩しに同棲をしていた男と別れて引っ越してきたアパートに、突然、高校の卒業以来会っていなかった彼女が大きなバッグを抱えて尋ねてきた。
名前でいじめられて、親友となったけれど、少々変わっていて、成長してみて自分に他の友人と微妙な旧友との関係を軸に。久しぶりに再会した彼女は知り合いじゃなかったら絶対に関わり合わないような人になっているけれど、昔の恩ゆえに断りきれないのだという序盤。やっぱり断っておけばよかったと思うぐらいに、パンク野郎やらチンピラやらが上がり込むばかりか、さらには暴力沙汰にだってエスカレート。その「断れなさ」があれよあれよと泥沼になっていくというのが(ひとごととして観る分には)楽しいのです。
泥沼にはまるだけはまりこんで、泥沼のドロシーの本当のピンチに至り、どうにかしようと思い出す終盤。泥沼にはまるきっかけだって親友だったという気持ちだし、泥沼から逃がしてくれたのも、あるいは全部自分で抱え込むことに決めるのだって、親友じゃないかという気持ち。こんなむちゃくちゃなシチュエーションだって人情劇になるのだ、という作家の確かな力と年輪を感じるのです。じっさいのところ、かなり
主役で拝見するのは珍しい気がするヒルタ街は、こうしてみると大柄ではあっても普通の(巻き込まれる)お姉さんの体温がぴったりな感も。巻き込む女を演じた川原万季は、いわゆる「変わった人」からホームレス、終盤のかっこよさに至るまで振り幅にさすがの力を感じるのです。パンク野郎を演じた椎名葦ノ介の頭の悪さ感の役作り、小説家を演じた郷志郎の冷静で面白がりな傍観者(どうも骨折してらっしゃったらしい。ずっと同じ場所にいるのが傍観してる感じを後押しします)の感じ、チンピラを演じたゴールド☆ユスリッチは表情ひとつ変えずに酷いことも、モテる感じの説得力。
長いこと拝見していて嬉しいのは、最近見かけなくなってたなと思っていた、いしいせつこの声の出演と、当日パンフで主宰が語る彼女との歴史や彼女の近況(おめでとう!。知り合いでも何でもないけれど)だったりして、劇団員だけの公演ゆえにこういうことを書こうと思ったのかという主宰の気持ちに思いを馳せたりするのです。
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