【芝居】「もうひとつある世界の森に巣喰う深海魚たちの凱歌」あなピグモ捕獲団
2013.5.12 14:00 [CoRich]
東京での活動から福岡に戻り、初めての公演。 本編90分(開演は15分押しでした)。12日まで。
携帯をなくしたと男は焦るが、ほどなくして見つかったが、待ち受けは森になり、電話帳は消されてしまっている。そこに電話がかかってくるが「麒麟Q」という、知らない男からの電話だった。
携帯がなくて探しても他人はとことん冷たいという序盤から、男は突然森の中に放り出されたり、オフィスで一人怒られた後に同僚の女たちとの会話だったり、エレベータの中だったり、恋人との車の中だったりとさまざまな場所に突然とばされる感じでシーンが描かれます。 物語が進むというよりは、一人の男の心のなかがどうしてこうなったのかを細かに点描していく描き方だったのだ、というのは終演後に考えながら歩いていて気づくていたらくなアタシです。
仕事を辞め、恋人とも別れ、でも金は必要だし、このどうにも納得できない閉塞した上京から抜け出して、こうではない自分の姿になりたい、と焦る気持ちを描きます。芥川よろしく、天空から垂らされた赤い糸にすがる男のすがた。そろそろ諦める世代なアタシにとっては少しばかり眩しい感じ。
少しばかりわかりにくい鴻上尚史、とアタシはおもっている作家(そういえば、ごあいさつ、の文章がノートの罫線が残ったコピーというのもその気持ちを裏打ちします)なのだけれど、それは多くの女優をつかって、たった一人の女性を描こうというような描き方にも近い感じを抱くのです。
アタシが観ているこの劇団の公演としては格段に見やすいと感じるのは主役を演じた大竹謙作の力量という気がします。開幕の仕草も面白いし、あれこれ翻弄される感じも面白い。常連、石井亜矢やますだようこは安心してこの世界を見ていられる空気を作ります。古賀今日子(ex.ギンギラ太陽's)はこんなに間近で拝見したことはなくて、実に美しくて見惚れてしまうのです。この芝居のなかで唯一違う空気を醸す関村俊介はしかし自分の劇団とは違うキャラクタになっていて楽しい。
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