【芝居】「猪突タッチアップ」ズッキュン娘
2013.4.29 13:00 [CoRich]
二回目公演は池上三太の脚本で。4月29日まで新生館シアター。80分。
種子島の女子高校生のソフトボール。県大会二位まで来たけれど引退する三年生、それを継いだ二年生、天才的な一年生のピッチャー。練習試合の人数に足りず、部員も辞めていってしまう。
スッキュン娘 種子島の高校、女子ソフトボール部。県大会の二位までにはなったが、三年生が引退し、試合に出られる人数すら確保できなくなってしまった。新しいキャプテンはウザガレるほどに新部員の確保に奔走するが、顧問もマネージャーも頼りにならない。このチームの要となっているのは一年生の天才的ピッチャー。だが、その姉はソフトボールは大好きだが、チームの戦力にはなりきれていない。練習試合も申し込まれるが、三年生が抜けたあとの人数は埋まらないどころか、マネージャーまでが抜けるといいだす。
わずか80分ほどの物語、細かな物語の断片でそれぞれのシーンはほとんど2、3人で構成されています。出捌けの導線の妙で、ともかく淀むことなく物語が進みます。作家だけの参加のはずなのだけれど、池上三太のぬいぐるみハンターでみられるようなスピーディーさが実に巧く機能しています。
全体にはコントのような感じではあるのだけれど、スポ根的やる気のギャップや、スポーツの実力という歴然とした差と姉妹のあれこれ、あるいは煙草などの不祥事や家庭の事情、あるいは初恋の事情やら、デートにいそしむ気持ちやらのセイシュンのあれこれをぎゅぎゅっと濃密に、しかも時にコミカルにときにシリアスを混ぜながらつくりあげる物語の力。
正直に言えば、それぞれが背負う物語それぞれは決して独創的でもないし、観たことがないという驚きがあるわけでもありません。が、それをぎゅっと濃密に詰め込んでパッケージして、それをスピード感溢れるようにつくることで、ちゃんと物語を紡ぐのです。
熱くウザいキャプテンを演じた長瀬みなみ、圧倒的なコミカルで突っ走る背野じゅんは、物語を背負うというわけではないのだけれど、それぞれの物語をトッピングできる強度のあるソフトボール部という背骨を構成。この強度の上に、たとえば姉妹の葛藤や他の人物たちの恋心や進学のこととか、様々な物語が作り上げられる安心感。姉を演じた山崎未来を役者としてきちんとみたのは初めてかもしれません。なんかとても雰囲気がいいのです。 ダンスシーンもいくつか。パシっとしかも女優らしく可愛らしくキメるのがかっこよく。
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