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2013.05.19

【芝居】「ぬけ男、恥さらし」MCR

2013.5.18 15:00 [CoRich]

笑いの中にペーソスが溢れる90分。19日まで駅前劇場。

その子供は、小学生の頃から愛というものがわからなかった、という小説を書く作家。

下手に作家の部屋、上手は小学生の家や高校の場面という舞台のつくり。愛というものがわからない、欠落しているという小学生の息子に泣く母親から、高校に進んで、という流れの上手と、畳の部屋で妻をぞんざいに扱いながら5年ぶりに書けるようになった作家の物語という下手の物語を並行して(交互に)進めていきます。

作家の語り口から、小学生の子供、愛というものが判らないという息子に対してかけがえがない何かとか、自分より大切な何かとさまざまに理解させようと四苦八苦する両親の序盤が面白い。そこから、生きていくためには、愛を知っている、という風に振る舞うのだと教える父親の説得力。

あるいは、高校に進んでから割り切って男はセックスはしても、相手は愛には至っていないというそぶりの女、さらには面倒くさく愛をかたりからめ取ろうとする女。これだけモテモテなのはファンタジーだというのは脇において(泣)、そぶりを見せないにしても、ガツガツと愛を欲しようとしても、さらには終盤あれだけいっていたのに、現実の厳しさ(高校生にとっての親の転勤、ぐらいのバランスが実にイイ)であっさりと翻すあたり。愛は大切なものだといていても、すぐに移ろってしまうものなのだという諦観ともいえる世界の見え方の根深さもまた、作家の持ち味なのです。

小野ゆたかが演じる息子、 幅広く実はニュートラルでありつづける説得力、パラドックス定数の早口で説得力という印象が、ここでもきっちり。 諌山幸治が演じる作家、あたしの座った席が二列目だったので、表情が見えないのは惜しいけれど、外には出さない愛情という雰囲気。 伊達早苗の母親っぽさ、ぽっちゃりというか肉感というか、ジタバタ暴れたりするというのもおかしくて。 津留崎夏子の今までみたことのないような表情の七変化が実にすごい。恋人の家に遊びに行って両親と話して居るときのバカにしたような表情から、なにかに心酔(か心酔か)しているという表情。 さらにはあっさり、というダイナミックレンジが実に凄いのです。
ザンヨウコをこれだけフラットに使うというのは珍しいけれども、子供を愛に目覚めさせる微妙なおばさん感と、愛され続けてるという妻の静かなありかたがじつにいいなと思うのです。

ネタバレかも。

作家は妻の病気を経て初めて小説を書くことを再開した、という切実さが実にいいのです。 ドタバタだったり、笑いに溢れてはいるけれど、むしろペーソスとか、そういう雰囲気が似合うようになってきた作家が実にいいなぁと思うのです。

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