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2013.05.24

【芝居】「くりかえし無限遠点」feblabo P

2013.5.20 18:00 [CoRich]

シアターミラクルの支配人となった池田智哉のプロデュースユニット、feblaboの新作。80分。20日までシアターミラクル。

オンラインゲーム制作会社が改良のために若い男女5人を集めて心理実験を行う。毎日の生活を送り、助け合ったりしてさまざまなゲームでゲーム内通貨を稼いで装備を増やしたりしていくというゲームだが、目的は特にない。その場所に暮らし続けることが目的になっている。ゲーム上からプレイヤーが消えるという「死」の概念を持ち込むのが今回の改良の目的だった。

ゲーム会社の開発のために集め缶詰にしての実験。ラウンジとダイニングと寝る部屋、そのラウンジだけで物語は進みます。資料と称して間取り図や実験の目的、タイムテーブルなども配られますがそこはあまり芝居の上では活用されない感じ。二泊三日の缶詰と風呂敷を広げたものの、初日は人物たちの描写で、実験はじっさいのところ、二日目午前のひとつだけしか行われません。

ネタバレかも

学生の頃に事故で命を落とした男、その友人が作ったオンラインゲームの中にはその男が作り込まれていたために、その男に好意を持っていた女がゲームに浸りきりになり現実に戻ってこれなくなってしまったのを、なんとかして現実世界に戻そうとする、それはゲームからの退場、つまりゲーム世界での死をその女に選ばせる、ということが物語の骨格は終盤間際になってあかされます。それまで現実世界だと思っていたこの実験の現場自体がゲームの中のできごとなのだ、というどんでん返し。

突然「朝食に毒を入れた」という中盤があまりに強引な感はあって、それはゲームの中のことだったと判明する終盤に至ってやっとバランスがとれる感じがします。違和感を抱えたまま進んでしまうことになるのが勿体ない。普通の私企業がやることとしては人の命を奪うということのリスクのほうがよっぽど高いのに、という違和感。思い出してみれば、序盤、二泊三日の割には、女性の荷物があまりに少ないのではないか、ということもそうでした。タイトルの「くりかえし」というのもなるほど、再帰的な構造を表しています。

正直に云えば、この構造のひっくり返しを芝居を見ている最中は気づかなかったアタシです。いいわけをすると、劇中、ゲーム世界として描かれる「狩りに行くパーティが存在する」とか「報酬は日本円の他にゲーム内通貨」というあたりでおそらくは意図的に観客をミスリードして 、こういうゲームだとめくらませている、という感じは否めません。狩りをする世界と、こういう実験をするような世界が一つのゲームの中にあるというのは少々無理があるし、ゲーム内でゲーム内通貨以外の「リアルっぽい金」を存在させるのも、物語上の必然が薄いだけに、ミスリードを誘うため、と思ってしまうのです。

ゲームに浸る女を演じた横内のぞみは快活そのものという、この人物の本来をきっちりと。実は病んでいる、ということはセリフだけで説明されて、実はほとんど舞台の上には描かれないというのは巧い作り方という気がします。事故でなくなった男を演じたさいとう篤史は女の中にある理想的に優しい雰囲気という造型。 若い役者たちの舞台、平日の18時開演という開演時間で客席を埋めるのはおそらくは学生と思わしき人々がほとんど。アタシは早く出勤して早めに退勤できたけれど、こういうバランスの客席というのはまたちょっと新鮮な感じがします。客席で飲んでイイといって安価なアルコールを売るというのも、アタシは結構好きなんだけれど、これは評価が別れるかもしれません。

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