【芝居】「cut out list」PLAT-formance
2013.4.28 17:30 [CoRich] [ダイジェスト映像]
30日まで王子小劇場。75分。
人のためになりたい、と願うものはすべて天使になれるはずなのだが、形式的な試験を何百回と落ち続けている男と、その友人ですでに天使になっているらしい男。受からせようと、試験をする側もさまざまに工夫を凝らしてすら、受からない男にいよいよ最後のチャンスを与えることにする。「人を幸せに」することができれば、天使にしようということになる。
恋人を諦められない男を助けようと、「卒業」よろしく乗り込む男を後押ししても新婦は男が誰だか判ってくれない、あるいは、犯罪を犯して大金を手にした男を助けてどうにかしようという二つのエピソードがありますが、ここ自体には物語としてはあまり大きな意味がある感じではありません。そこよりは男二人が行きつ戻りつというか、トライアンドエラーというか、目的とされている「天使になること」すら実際の処あまり柱にならなくて、だらだらと話す男ふたり、ということが実に楽しいのです。若い二人だろうに、オヤジのあたしでもフックする瞬間があったりするのもマル。
(追記 2013/05/02 23:26) 紛争地帯の、という物語は単なる楽しいコントではない着地点を探る感じ。何か苦しいこと、ということ。それは911かもしれないし、311かもしれないし、(私は実感できない)紛争地帯で暮らす人々のこと、コントの体裁をとっているのに、こういう話題で 進めるというのもまた彼ららしい。
USTREAMで毎週木曜深夜に彼らがやっている「他力本願寺」をナマでやるという趣向も取り込んでいます。確かにTwitterでネタを募集してそこにあった問題に対してその場で答えているようではあるのだけれど、演劇(あるいはコント)の流れのなか唐突に押し込まれている感があって、70分という全体の尺の中で、こういう「箸休め」をそれなりの時間をつかってやるというのは結果としては全体の流れをいったん止めてしまうようで勿体ない感じもします。このコーナーが大爆笑ならばまた違う印象なのだろうけれど、選んだネタと、その場の役者の瞬発力だけに頼っているとすると、クオリティを担保できないわけで、大当たりとふつう(この二人の役者の力ならば、悪いことにはならないとは思う)の振れ幅ができてしまう気もするのです。そういう「外乱」を入れようというのはおもしろいのだけれどなぁ。もっとも、あとから初日のあとに収録されたUSTREAM(2013.4.25)を観ると、楽しい、ってことはよくわかるのです。
正直に云うと、PLAT-formanceに対しては、もっとスタイリッシュと可笑しさの両立、ということのハードルがものすごく高いのです。その期待値に対しては平均点、という感じがしないでもありません。が、安藤理樹、吉田能という二人の役者の間合いの凄さ、あるいはオカヨウヘイの脚本のゆるい緻密(意味不明)さが、たとえばシティボーイズ(今年は観られなかった...)に繋がる予感がしてならないのです。
天使の後半でのセリフ、「特別すぎて、手探り」は実感が伴う感じ。なにかの枠組みの中でずっと続けてきたことに、拒絶できない新たな問題が発生しても、ショーマストゴーオンに前に進めていかなければならない、というのが、地に足をついている風に思えるのです。
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