【芝居】「全長50メートルガール」踊れ場
2013.5.26 13:30 [CoRich]
ぬいぐるみハンター・池亀三太の書いた二本め (1)の会話劇なのだといいます。爆笑編でありながら濃密な65分はファンタジーめいてもいて楽しい。終演後に10分弱の二人芝居のおまけがついています。26日までRAFT。
田舎町のファミレスに夜な夜な集う20代の女たちは高校の同級生。東京に出てから戻り専門学校に通っていたり、地元で結婚していたり、工場勤務だったり、なにをしているかわからないけれど、一番イケてると思いっていたり。出会いは少なく、合コンをまたやろうと話し合っている。一番遅れてきた女も中学までは同級生だったが、高校には進まなかった。どうも、彼女は合コンには誘われないらしい。 女たち、田舎町の東京からの距離感は明確には語られないけれど、他の都市に出てくという話が出てこないところをみると、関東甲信越あたり、アタシの印象は北関東のどこか、という感じ。地元で生まれ、ここで暮らして死んでいくんだな、という諦めな感じ。東京だって行けない距離じゃないけれどなにか出て行く積極的な理由がみつからないというか。
遅れてやってくる女はファミレスにマイマヨネーズやらマイケチャップやら、あるいは水筒やら持ち込んだりして自由にすぎる感じ。話をしてもいまひとつ噛み合わない感じでどんどん話が横滑り、みていてイライラする感じがちょっと凄い。この空気読めなさ加減で合コンに誘われないのかと思っていると、明確には語られないけれど、どうもこの女は恋をするととてもまずいことが起きるらしい、ということが徐々に明かされていく過程が実にスリリングでわくわくします。
振り返ってみれば、日常感たっぷりな田舎町だけれど、微妙に歪んでるというかファンタジー要素というか。本当に河童が居て町を歩いているけれど、生臭かったりしてなんかちょっと嫌だとおもってる(ナベゲンのあれが思い浮かぶ)ぐらいの日常感で、でも保護すべきということになっていたり。 あるいは年に一人ドラゴンに選ばれてここから消えてしまって、その家族には300万円が支払われるらしいのだけれど、ファミレスで健気にバイトして声優を目指しているウエイトレスは今年選ばれて消えてしまうことをみんなが知っているとか。 ひと一人消えて300万円というのは安すぎるというのがアタシの感覚なのだけれどけれど、それを安いと言い切れない、リーズナブルとすら思ってしまうのは世代の感覚なのか、田舎の感覚なのか、ちょっと興味深い感じ。
あるいは、恋をしたいけれどしちゃいけない女は悲しくて大声で泣き続けていて子供のよう。それを諭す同級生たちは時に怒り、時に抱きしめ、時に言い含め。それぞれのダイアログが泣いてる子供に向き合う母親の姿を見るようでどこか暖かい気持ちになってしまうのです。
恋をしてはいけない女を演じた、あやかは感情の起伏のムラまでくっきりと、というよりは消耗しそうなほど60分ほとんど騒ぎ通しという圧巻の印象。全体の中でもコミカルを強烈に印象づける背能じゅんもちょっと凄い感じ。
本編終了後に設定された短編は、怪人を倒すために出動しなければいけない男なのだけれど、ヒーローの証のスカーフが恥ずかしいと云って出て行くなという妻との会話というワンアイディアで突破します。日常に放り込まれたヒーローのホームドラマという体裁で、妻とこの小さな家に暮らしているのだということで描く物語なのです。10分どころか7分ほどの小品だけれど多くの組み合わせのキャストで見せるという楽しさ。
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