【芝居】「愛についてのシンクロ・レポート(オーラルメソッド3)」シンクロ少女
2013.5.6 17:00 [CoRich]
今回の公演の中では唯一の新作。60分。6日までアルシェ。
なかちゃんの恋人だという男二人。不倫だけれど触りさえしない男と、若いけれどニートで経済的に支えられない男の二股をかけている。二人を呼びだし、バイセクシャルの男も立ち会わせて、愛というものについて話してほしいとなかちゃんは言う。 男三人があれこれ考えたり仲良くなったりしながらの珍道中、という後半は、どこかロードムービー風。母親を追う兄弟たちという「ダージリン急行」に対して、理解しがたい女を振り払えない男たちという感じだけれど、フォーマットが繋がっている感じがするのが、ちょっと面白くて、これが作りたくてダージリン急行をやることにしたのか、と思ったり思わなかったり。
一方で「極私的エロス」( 1, 2) が作家自身の実話の切り売り(という体裁)で、この人は寂しさとか愛情とか男ということをこうとらえるのだということをベースにして、ダージリン急行の軽妙な男たちというフォーマットに乗せ、もうすこしライトな話題で作り出したという印象。実名らしき人々がガンガン出てくる「極私的〜」に対して、役者の名前が役名になってはいても、客演を一人入れていることでそういう付き合い方はしていないだろうから、そういう意味でちゃんとフィクションになっているのです。
愛というものががわからないのだという名嘉友美という作家というレッテルというかブランドというか(劇中でも「芝居で言い訳をしている」というような台詞があったりします)、自分を切り売りするかのように、愛情とか恋人について、一般的なモラルで思考停止せずに自分の頭で考え抜いて向き合おうというする姿勢は時にコミカルにすら映ります。やたらにメモを取ったりとキャラクタライズされているのも巧く働いていて、この作家自身の名前を名乗りながらも、そいういう「キャラクタ」に相対化していて、フィクションという体裁に昇華して、「極私的〜」からの新たな一歩をちゃんと踏み出したのだなと思うのです。もちろん知り合いではないし、ろくにお話ししたことすらないのだけれど、彼女の恋いとか愛とかを見守っている、っていう感じ。ほんとはそこに参加していたいと思っちゃうオヤジ気質だって(まだ)あるんだけれど(笑)
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