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2013.04.08

【芝居】「少し静かに」ブルドッキングヘッドロック

2013.4.6 14:00 [CoRich]

ずいぶん久しぶりに拝見する気がします。ブルドッキングヘッドロックの新作。劇団としては初めて演出を主宰の西山宏幸というのも見所な85分。10日までスズナリ。

映像製作の小さな会社。結婚式のビデオ撮影・編集などを細々と続けているが、 大学卒業後に一緒に会社を立ち上げた男は別の仕事が入るようになり、制作を担う女はキャスティングの仕事で忙しくなり、一人オフィスにこもりきりがちな男はまだ芽が出ない。夜中にオフィスの机の上で一人マイクに向かいだらだらとしゃべり、隣室の男の部屋に仕掛けた盗聴マイクを流したりするwebラジオをすることが楽しみだが、リスナーは一人も居ない。
別の部屋、女の一人住まい。芽が出ないバンドを30過ぎても続けているが、メンバーが抜けて活動らしい活動が出来ない。清掃のバイトには入ったが、リーダー格の年下の女がどうにも苦手。子持ちで別居中の女や話しやすい男など、仲のいい人も出来て。

若くはない男、才能はあるけれど、表にでないから芽が出ない感じの鬱々。あるいは自身にはあまり才能も続ける気力もないけれど、バンドを続けたいという気持ちだけはある若くはない女を核にした町の物語。

言葉か、何かを発すれば、それは伝播し、「同期する」誰かに必ず届くはずというシーン。それまでの物語のリアルな感じから、唐突に強烈なファンタジーが紛れ込むことに戸惑う感じはあるのですが、発した言葉、発した何かが伝わるのだ、ということをwebラジオ(アクティブな反応がなくても聴いている人が居ることはわかる、という特性を巧く生かしています)というメディアを通して描くというのは新鮮な描き方です。

正直に言えば、物語に対して、登場人物が少々多すぎて、相当な役者だってごく勿体ない役割しか担っていないうえに、物語の濃さの割に時間が長いという感じは否めません。もっとも、二つの舞台を直接繋ぐ人物を頑固なまでに置かず(ふつうの小劇場では、世間は驚くほど狭くなりがちなのに)、しかしそれでもその二人はもしかしたらつながる瞬間があるのだ、という「奇跡」にも似た感じは、確かにこの人数があってこそ。「伝播する感じ」のある程度の広がりがほしかったのだろう、という気がします。 足踏みならしたり、セピアに色の抜けた雰囲気など転換のバリエーションがおもしろい感じはあるけれど、いくつかのパターンが混在することの法則が見えないことも少々戸惑うのです。

帯金ゆかりは、今までに観たことのないほどに暖かく包み込むような女を好演。豊かに優しさが滲むようで印象的。津留崎夏子は、こういうちょっと地味めなメガネの役がよく似合います。終盤の豹変もまた怖いぐらいに楽しく。劇団以外で拝見するのは初めてかもしれない根本宗子は、若くて、ずかずかと悪気無く踏み込む感じ、大人はそういうことを殊更に口に出したりはしないのだ、という鼻っ柱の折られ方は、大人の作家の語り口をきちんと体現。

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