【芝居】「クリエイタアズ☆ハイ」ホチキス
2013.4.21 18:00 [CoRich]
ホチキスの新作は元気出そうなめいっぱいのエンタメに徹する100分で気楽に楽しめます。27日までOFF OFFシアター。28日には後日譚を特別公演として2ステージが予定されています。
大手広告代理店のクリエーターの男。手がけたCMの荒唐無稽が次々と現実となってしまいデスクリエータの異名をとるようになって干されてしまう。そこに目をつけたのが社内の陰の部署「ネガティブキャンペーン局」だった。ダムに沈む村のローカル鉄道がV字回復の切り札として代理店に発注するが、このネガティブキャンペーン局は、ダムを作りたい省庁の目論見をくんで、デスクリエータの力で、V字回復を失敗させようと考える。
クリエーターにはアイディアがひらめく。一晩かけて案を完成させるものの、今更感のあるアイディアに反応は薄い。が、渾身の愛情を注いで完成させた案は、思わぬ形で人気を博していく。会社としては失敗させたいプロジェクトなのにもかかわらず。
地方のローカル線を舞台に、東京と成功にあこがれる社長や、会社への強い想いの古参社員の軋轢、推進するのが仕事とばかりにダムが必要かそうではないかではなくて、進めることが唯一の方向と考える省庁のこと、あるいは大手広告代理店と政府のどこか黒い関係など、なかなかに社会派だったりというネタがあちこちに。
ネタバレかも
クリエイターが考えたものが現実化するというファンタジー。ゆるキャラが実体化する、というアイディアを現実の舞台で説得力を持たせるというのは、誰でも出来る芸当ではありません。作家・米山和仁のたたみかけるようなコミカルさの物量と、そのキャラクタをきっちり造型して、出オチではあったとしても、単なるワンアイディアではなく、上演時間の殆どで真ん中に居続けていてもびくともしない役者・小玉久仁子の圧倒的な力によって成立させています。加藤敦演じるクリエーターはこういう弱気なキャラクタはちょっと珍しい感じもしますが、実にいい味わいで、実に印象的。笠井里美のコミカルも珍しく、更に凛々しく美人なスーツ姿というのはなかなかに珍しいのだけれど、たとえばクビを宣告されてそれまでまとめていた髪を下ろした瞬間にキュンと惚れてしまうのです。斎藤美和子の記号てんこ盛りな作り方も、このコミカル押しの中で負けずにいい仕上がりです。
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