【芝居】「サブウェイ」極東退屈道場
2013.4.7 17:00 [CoRich]
2011年初演でOMS戯曲賞受賞作の三演め。地下鉄の通ってる都市(のいくつか)を巡るツアーで、大阪公演の後、7日までの東京・王子小劇場のあとは札幌、仙台、福岡。110分。
すし詰めの車内、地下鉄という狭くて暗い特異な空間に乗っている人々。公的機関として運営されるのがほとんどなのは、ある秘められた目的のためだという秘密を暴いた映画が公開される。
黒一色のシンプルなセットに、客席後方左右から舞台中央奥に向かって貼られた二本のロープが地下鉄のトンネルっぽい感じ。ベージュ系で統一された衣装、短いシーンの間をつなぐダンス、一つ一つの物語は、地下鉄を使う人々の生活、考えていること、経験したこと、感じた理不尽、やってしまったことなどをさまざまにアソート。それぞれの物語には緩やかには繋がるものの、全体で大きな物語を構成するには至りません。
劇団の動画でも流れる低音のリズムが、地下鉄の中にずっと流れ続ける音のようでもあり、物語の重要な要素でもあり。かつてのシベリア少女鉄道のような鮮やかなオチが圧巻。
もっとも、そこで物語は終わらず、作家は神が7日間で世界を作った物語が、日曜日で終わらず、更に月曜日がやってきて、いつもの日常、地下鉄の日々が戻ってくるのです。関西の劇団ですが、アタシの苦手な京都演劇学派ほどには難しくなくて、大阪の気安さにスタイリッシュのバランスがいいのです。大阪の地下鉄事情に詳しければ、路線や駅それぞれの特性で登場人物たちを語るやりかたがちょっと面白いんじゃないかと思うのですが、そこまでは踏み込めないアタシは残念無念。
TSUTAYAでDVDを大人借りするナースを演じた、ののあざみが圧巻で面白くて強烈な印象を残します。あるいは図書館司書、おじいちゃんたちの相手の疲れる感じを演じた井尻智絵は、終盤のオチを間断なく流れるように落としこむちから。ビルの中で配送している女を演じた中元志保、田舎にはイオンが中心なんだ、都会に出てきたけれど近くの小さなイオンに行くと安心する、という台詞に込められた安心感が。
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