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2013.04.17

【芝居】「左の頬」犬と串

2013.4.14 14:00 [CoRich]

人気劇団ですが、アタシは初めて拝見します。元・バナナ学園純情おとめ組の二階堂瞳子と、劇団唯一の女優・鈴木アメリという二人の女優をフィーチャーした100分。劇団5周年、劇場10周年、CoRich祭り最終選考作とやたらに冠が多いのも、賑やかな物販などもイキオイ、という感じ。21日までシアター風姿花伝。

中学生の男たちどころか先生だってバカばっかりで疲れると思ってる中学生女子・ユキ。口なんか聞かずに過ごしてきた。ある日、転校生・サチがやってくる。自分と同じ漢字の名前だけれど、なにもかも対照的で、男たちにも優しくて、あっという間にクラスの輪の中心に居るようになるのがどうにも気に入らない。ずっと見ている「右の頬を叩かれたら左の頬を出しなさい」とずっと繰り返している男が出てくる不思議な夢の中にも、その気に入らない転校生が現れる。仲良しになんか決してなれないと思っているが、周りはなんとかして仲直りさせようとあの手この手を尽くす。

ずっと無口で殻に閉じこもる感じだったユキと、人とすぐにうちとけて、人の幸せこそが一番と心底考えているようなサチのコントラスト。水と油な感じの二人を仲良くさせなければ地球は崩壊するのだという無茶な設定の中で、さまざまな「イケメン」たちがあの手この手の大騒動、という感じ。物語の収束点はまあ、結局O.ヘンリー なのだけれど、着地点が重要なのではなくて、その過程での男たちの中二的なバカ騒ぎの膨らませ方こそが、おそらく劇団の真骨頂なのでしょう。一つ一つはコネタなのだけれども、ばかばかしさと、スピーディな見せ方は過剰なほど徹底していて、若い劇団のイキオイが存分に詰め込まれていて、人気があるというのはよくわかるのです。

テーマパークでのパレードのスピード感なネタがけっこう好きなのです。あるいは退院する男を待つ女など前半は詰め込まれたネタと物語の精度が結構ある気がするのです。が、そこから殴られたら殴り返すいったぐあいの素直な反応を「なるほ度」という単位で持ち出してきて、その数値が上がりすぎると地球が破滅するから、数値を下げるためには文脈とは関係ない唐突なことをするというのが中盤の大騒ぎを支えるのだけれど、そもそも、このルール自体がグダグダでどういうことなのか今一つわからないのが惜しい感じ。「ふつうではない反応が善」というルールが「仲直り」のベクトルとは無関係な感じになっていて、肝心の仲直りの話が中盤ではどこかにいってしまう感じがするのです。ここの精度がもうちょっとあると、俄然面白くなると思うのです。

鈴木アメリはブリブリな造形に、パワフルで快活さのパワーのコメディエンヌぶり、邪険にされながらも兄ちゃんについていく妹、みたいな可愛らしさがあったりしてきっちりヒロインを。もう一人のヒロイン、二階堂瞳子を役者としてみるのはずいぶん久しぶりな印象もありますが、きっちり研ぎ澄まされた動きも、つか芝居ばりの台詞の正確さもきっちり作り込まれていて強烈な印象を残します。アタシはこの二人の対決の前半が好きだなぁな、オヤジなのですが。男性の俳優たちもきっちりカラダが出来ていて、そういう意味で疾走するパワフル、というのは早稲田劇研の伝統だよなぁと思うのです。

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