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2013.03.03

【芝居】「借景芝居『パーマ屋さん』」うさぎ庵

2013.3.1 17:30 [CoRich]

渡辺源四郎商店傘下となった、工藤千夏・うさぎ庵の「借景芝居」は今月いっぱいで閉店となる美容院での45分。3日まで池ノ上・Claire(クレール)。ワンドリンク付き。

小さな美容室。客の女の仕上げが終わるころ。店長はかつて原宿でカリスマで、独立してここに店を構えて妻と長い間この店を育ててきたが、事故で怪我した右手が治らないと、半年経った今もハサミをもてずにいる。医者はすでに治っていると言っているようだ。

毎公演、客入れの間、客を演じる石橋亜希子は髪を洗われスタイリングされ(髪の毛ダメージ受けないかしら..心配)。ホンモノの美容師がキャストにいて、美容室という場所だから成立させられるまさに「借景」を存分に。安心して任せゆったりとした気持ちになる表情が時に色っぽく、時に幸せがこぼれるよう。美容院未経験なアタシには実はよくわからないけれど、こうして貰うために安くない費用と時間をかけるということは理解出来るのです(アタシだって床屋で髭を当たって貰う嬉しさあるしな)。

ネタバレかも。

美容師がハサミを持てなくなった事故、彼は妻を失ったのだということが中盤で鮮やかに。客入れ中から妻はたくさんの台詞を喋るのでそれに騙された気はするけれど、思い返してみると、会話に見えるところは実は成立してなかったりするから早々に気が付く人は気が付きそうです。アタシはすごい剣幕の二人目の客、あたりで初めて気が付いてしまう鈍さ。

軽口叩きながら、今は亡き妻と、静かに対話する終幕のシーンが好きなのです。一人で片づけ、鏡を磨き、植物に水をやり、という毎日のことについ、妻の口癖が乗ってしまう、なくしたものを大事に抱えて一人生きていく男。あるいは終幕、現実にはリハビリのためのジャンケンということなのだけれど、(見えている)妻とジャンケンしてるということ、しかもそのすべての勝負で妻が勝っている(ようにみえる、しかもあからさまに言及したりはしない)というのが、ずっとずっともうこれ以上の女性には会えないということを鮮やかに描くよう。

妻を演じた天明留理子は、年齢を重ね、しかしまだまだ一緒に居るはずだったという時間軸の絶妙なポイントにいる役を美しく、しっかりと。最初の客を演じた石橋亜希子はとてもチャーミングで少しコミカルで。実は心の底で店長を想っている独り者、というのもちょっといい。

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