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2013.03.03

【芝居】「愛して紅」劇団†勇壮淑女

2013.3.3 14:00 [CoRich]

散歩道楽の太田善也の作演で、いい歳しても特攻服をキメた女たちの物語、115分。3日までザ・ポケット。

レディス・武流怒愚にからまれていたお嬢様風の女を助けたのは、同じくレディスで抗争しているチーム紅の総長だった。助けられた女は、母親のしいたレールの上だけを歩んできたが、自分の力で決めることに憧れ、チーム紅へ入ることを決める。
そのころ、街の片隅で暗躍を始めていたのは、「愛」を全面否定し、そんなアテにならないものをこの世から根絶しようとする一味だった。

アタシは初めて拝見します。 二つのレディスチームの抗争を枠組みとして、いい歳して特攻服、という出落ち感めいっぱいの見た目とは裏腹に、人を信頼すること、(広い意味で)好きでいることの大切さを丁寧に描く太田節。時にミュージカル風にダンスが4つも入っていたりして、女性ばかりのキャストもあいまって見た目にも華やか。

ミュージカル風味があって二つのチームの抗争と聞くと、セットの感じもどこかウエストサイドストーリーを思わせますが、作家はそこから一歩踏み込んで、愛こそが最強、ということを前提にはせず、それが揺らぐ瞬間に付け入る(見た目にも存在も)ダークサイドな第三の勢力を物語に組み込んで、愛そのものの存在を強く浮かび上がらせるようになっています。

主人公・チーム紅の総長を演じた江間直子は、キリっとした目線が美しいクールビューティなのだけど、それを(劇中にも語られる)日本土着なヤンキー特攻服というある種のダサさを加えて造型することでさらに魅力的に。ハーフという設定の構成員を演じた斎藤久美子は振り付けにも名前があってダンスのキレが印象的。奈賀毬子は明らかにファンタジーの領域の悪役だけれど、ダークサイドに引き込む強さを腕っ節ではなくて、膨大な台詞を畳みかけることで成立させる役をしっかりと。その手下を演じた鈴木美園は天然キャラかと思わせて、かわいい顔して冷徹の凄み。

ネタバレ

母親役どころか、中盤に至り、チーム紅の初代総長だったというどんでん返しを担う椿真由美、品格で支える序盤に、凄みのある声の強さと特攻服のインパクトはなかなかなもので、確かに彼女以外にあまり思いつかないキャスティングの勝利だったりするのです。

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