【芝居】「捨てる。」エビス駅前バープロデュース
2013.3.10 17:00 [CoRich]
エビス駅前バープロデュース・リブートと題しての再出発。演目は再演のようですがアタシは初見の3つの小さな物語をゆるやかに繋ぐ75分。17日までエビス駅前バー。チケット代とは別にドリンク一杯の注文(前より少しお値段上がったかしらん。前のままとのこと。失礼しました。ご指摘感謝。)が必須になっています。
小さなバー。若い女が待ち合わせとして訪れて開店。
結婚式帰りの三人。幼な馴染みのアラフォー女、一人は主婦だが奔放、一人はバリバリに働いているが縁遠い。ひとり若い男はその従姉弟で。
田舎からやってきた兄を連れて来た常連の女は漫画家。連載が切られたばかりのきっかけ、兄は地元に残る甲子園の星だったが妹に田舎に戻ってこいと説得に来たが、妹は頑として云うことを聞かない。
待ち合わせに、店のマスターがアニキと呼ぶ中年の男がやってくる。病気した去年に家族というもののありがたさがわかったという。女は男と初めて会うが云いたいことがある。
一人のバーテンに入れ替わり立ち替わりの客たち、というバーらしい芝居。 一本目、アラフォー女子二人、主婦だけれどまだ奔放vs憧れ立った文学少女が仕事をバリバリこなしてしかしまだ一人。互いにどこか隣の芝生という羨みを抱えているという構造なのだけれど、じつはその外側に鞘当てのような駆け引き。それに挟まれる若い男というのはちょっとおもしろい。田中千佳子はこういうやや不幸めを背負うと醸し出さされる色気と、思ったけれど役柄故か、はたまたドレス故か。主婦を演じた外山弥生は、薄倖が似合いすぎると言い続けたあまりに失礼なアタシですが、今作では、アラフォーになっても色ぼけするというある種反対方向に振り切っても説得力がある色香に迷いそうになります。
二本め、広島から上京している漫画家の妹は10年目。訪れた兄を連れてきてという具合の広島弁全開でコミカルな序盤。東京に居ることへの固執と、捨てられない実家と立場というせめぎ合いをタイトに見せる圧巻。岩手生まれの佐々木富貴子がしっかりと広島のことばを(いや、アタシにはそのリアルさはわからないのだけれど)自在に。目の前で自作を読まれて恥ずかしがるシーンが小さい身長とカウンターを自在に操るようでダイナミックな効果も生んでいてちょっとおもしろい。兄を演じた山崎雅志は常連らしい安心感。
三本め、
女を演じた片岡あづさは可愛らしく、しかし真っ直ぐな気持ちが見えるような目力。待ち合わせた男を演じた岡見文克はあからさまにバブル世代な造型で、枯れ始めている雰囲気もいい。
この店で一番高い酒として話にでるマッカランの50年、ぐぐってみれば確かに稀少品で、それがこの店にというのはちょっとやりすぎな気もしつつ。対比として出される一杯800円のラフロイグ、それだって十分にちゃんとした酒。あの緑色の瓶もラベルもが結構好きだったりするので(まあ、やすい酒、という対比だけれど)ちょっと嬉しい。
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