【芝居】「2日目だから話かけないで。」第6ボタン
2013.3.24 13:30 [CoRich]
お好み焼き屋で定期的に続ける、ワンフード・ワンドリンク付き公演の3回目。85分。24日まで十条・「うまいもん屋」。
レストランの深夜のバイトたち。客が来るまでの暇な時間を埋めるための恋愛四方山話。
二日目の、という女性固有のことをキーワードとしてちりばめ、恋愛を巡る惚れた、仕掛け仕掛けられな若い恋愛事情、という体裁で描きます。女からわざわざ誘ったのにままならなかったり、男は経済力戸ばかり言い放ちながら二次元にはまってたり、別れた男への未練が断ちきれなかったり、離婚したばかりなのにすぐ次を求めたり。「二日目」は時にままならなさ、時に普通はやらない思い切った行動、時に抜けられない怠い感じ、時にタイミングの悪さ、のように言い訳に使われたり、あるいはルーレットおろしく不確定な要素として使われます。
登場人物たちの誰もが恋愛至上主義な感じで、思い悩む男女たち。一つ一つは傍目には些細なことだけれど本人たちには大問題。その話題だけで毎晩でも話し、笑い、泣けるのは若いよなと切って捨てるのは簡単だけれど、誰にだって程度の差こそあれ、どこかにフックしそうな様々が散りばめられています。作家によればいろんな人からのインタビューによって組み立てたキャラクタやセリフのようです。デフォルメは強めで奥行きという点で少々物足りない気はするのだけれど、男だって女だって実にまっすぐで、作家の優しい視線。
恋愛がうまくいかないとおもしろおかしく語れる女たちの物語が実に好きなアタシですが、今作では むしろ、もうすこしシリアスに別れを意識させるシーンこそキレを感じます。たとえば元カレへの想いが断ち切れない女、電話一つに期待をしてしまって、それでも普通に話しているつもりなんだけれど、別れたオトコにしてみれば友人を超えた恋人の距離感に近づかれることへの嫌悪。たとえば、彼女と別れることを決めた男、友人たちや言葉ひとつ、彼女のある種の下品さという価値観の差が決定的な溝になること、が印象的。
酔った勢いで男を誘いながらもままならない女を演じた大藤由佳は、普段はちょっと怖いけれど酔って可愛らしくのツンデレのダイナミックレンジが愛おしい。男の太ももを抱き枕のように抱え込んで「これください」と関西弁というセリフの破壊力が抜群で。それに翻弄される後輩を演じたヒロトは男の子っぽさ全開、終盤でのもう一度のチャンスでの笑顔が、ニヤリではなく嬉しさが溢れる感じなのか可愛らしく。
地道に公演を重ねてきた飲食店での公演。ワンドリンク・ワンフード込みで追加料金無しのワンパッケージの安心感とか、客を間違いなくキャストが相手して食事の時間を作るという流れはシステマチックになり熟成が進んでいます。もっとも、フリの客だと少々寂しい感じになるおそれはあるけれど、まだキャストの手売りに頼るという段階ということかもしれません。
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