【芝居】「ゴルゴン」ガジラ
2013.2.24 14:00 [CoRich]
多分アタシは初めて拝見するガジラ。友人の絶賛で当日券、キャンセル待ちでなんとか潜り込んだ115分。24日まで雑遊。
クリスマスの夜、ラブホテルで不倫相手の男にガソリンをかけ放火した事件。女は獄中から手記を発表したりしている。殺された男の妻は事件後、一人娘を女手ひとつで育て上げる。美人ではない娘を、犯人の女を見返せるぐらいにしようと、色恋ではなくて立派になる道を選び続けさせ、娘は果たして大学院を出て一流企業に就職する。殺された男の妹は離婚していて、この母娘を気にかけ、自分の娘とともに支え続けてきたが、清掃の仕事をしているラブホテルの経営者の息子といい仲になっている。あるクリスマス、殺された男の娘もまた男と不倫の仲になり身ごもっている。親から離れたいずっと考えていて。 受刑している犯人の女は雑誌への手記のナレーションという形。 母と娘が二組、男たち、(ともう一人の女)の少ない人数の物語だけれど、女たちの生き方の共感と反感と溝が入り交じる癖の強い語り口。そこに女が書いた獄中手記の断片(のナレーション)を挟み、実は閉塞していく母、そこから離れたいと考える娘という「親離れ」の物語だと思うのです。母親のレールにずっと乗り続けたけれど、大学生になろうという娘が欲しいという携帯電話は許されないという、強すぎる囲い込みの怖さ。母親が子供に何かを言い続けて育てると云うことのバイアスは怖くもあるのです(もちろん現実には希望でもあるのですが)
母親の側から観れば、オンナであった犯人に対して自分が負けているということの強い意識、結果として彼女よりは上になるように育てたい、美人とは云えない娘だから頭の良さで勝負するのだと決め、年頃になってもセックスへの嫌悪感の強さが残るのも、またよく分かるのです。
女たちは血とか想いとか、見栄とか味方とか、ずっしりと重いけれど、男たちの造形は実に薄っぺらい感じなのが、アタシが感じる世界に近い感じで楽しくおもしろい。
不倫殺人を犯した女の獄中手記はバリエーションがあるようでも実はステロタイプな感じ、それに反感の妻、その娘が進んでいる道は、実は憎むべき犯人に近いというメビウスリングな感じ。友達ということになってるけれど裏表、支援してくれる義妹のことも実はどこか見下しているということ、ある種、女の面倒くささが舞台を支配します。これを120分見続けることが好きなアタシですが、これがどうしても嫌だという感じもよくわかります。
チラシも当日パンフ手に入れ損ねたので、CoRichのチラシ画像(小さすぎて文字が読めない)とキャストの順番が同じだと仮定して書いてみます。
妻を演じた西山水木は、娘には美人とは違う生き方を選んだ、しかし先が見えないということの苛立ち。その娘を演じたとみやまあゆみ、メガネで地味という造形、しかも実は男にモテそう(アタシだって選ぶならここだ(笑))というのが実によくて印象的。義妹を演じた大沼百合子、その娘を演じた白玉麻規子の制服姿は一瞬だけれど、この舞台の中では華やかさ。若い男を演じた今國雅彦が実は場をしっかりと支えるケーキのシーンが結構好きだったりします。
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コメント
楽しくはないと知っていながら観ました。
前回は好きな女優さんが出演されてたのでこんなだとは知らずに観てびっくりしたのですが、
今回は覚悟を決めて観ました。
投稿: 流星人 | 2013.02.26 23:09