【芝居】「発情ジュリアス・シーザー」柿喰う客
2013.2.24 18:00 [CoRich]
女優だけでシェイクスピアを上演する人気シリーズ「女体シェイクスピア」 (1, 2)の。三回目。 3月3日まで青山円形劇場。そのあと大阪、新潟、三重。 (wikipedia)アタシの観た24日夜は田島ゆみかの体調不良でキャスト変更が入っていました。ローマの市民を江戸の町民に置き換え、江戸弁を母体にして構成しています。女性の役がほとんどなくて、全体に男臭い芝居、袴姿も凛々しく、格好良く。正直に云えば、江戸弁とか町民という趣向、さらには洒落たジャズ風の音楽といった仕立ては物語になじんではいても、それを重ね合わせて芝居に幾重にも効果を生むというグルーブまでには到達していない感じが惜しい。中屋敷法仁演出ならば、もっとイケるはずという期待を込めて。
そもそもが地味めな、ジュリアス・シーザーという物語ではあって、たしかにがらっぱちではあっても、どこかゆっくりなところがあって、セリフで語らせ聞かせなければいけない今作では、イキオイでは突っ走れずに、若い役者、しかもキャスト変更という状況ではすこし厳しいところが残っていたのです。
もともとの戯曲から見せ場になっているらしい、弔いの演説。策士アントニーがブルータスは立派だと表向きはいいながら、市民たちを扇動し、ブルータスを追い詰めるに至る演説のシーンは圧巻。演じた七味まゆ味がしっかり締めたカナメとなって印象的に。実は主役のブルータスを演じた深谷由梨香は、舞台に居続け、翻弄されしかし、しっかりとそこに立ち続ける力強いキャラクタをしっかりと造型。乱れた髪もなんかかっこいい。占い師やピンダラスを演じた岡田あがさは、あまりに飛び道具ばかりな役どころがオイしすぎるだろうと思わないことも無いのだけれど、全体に重心が重くなりがちな芝居にあって、飄々とした造型がリズムを作ります。我妻三輪子もまた、幼い召使いという空気の抜けたような造型だけれど、これもまた違う軽さがあって、実はちょっと印象的で、しかも愛おしい。コミカルを背負うようなこの二人が終盤に至り主人を殺すという役にしているのもちょっと面白い。キャシアスを演じた渡邊安理、もっともっと行けそうな気がするのだけれど、確かにいままで観たことのないような役ではあって、新たな魅力への一歩かとも。
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