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2013.02.11

【芝居】「漂着種子(1984)」猫の会

2013.2. 9 19:00 [CoRich]

1984と2013の二つのバージョンを上演。17日まで楽園。95分。9日夜時点では、劇場入り口から下りる階段の右側に八丈島に関する地図やら資料が張ってあります。ちょっと気付きにくいので、帰りに気づいたアタシです。2013は来週、拝見する予定です。

八丈島、今は無人島の八丈小島を望む旅館の離れは、画家になりたいこの家の三女がアトリエにしている。次女と夫が切り盛りする旅館、長女は東京で嫁いでいて滅多に戻らない。三女の高校の同級生だった漁師が毎日魚を持って訪れて、淡い恋心を言い出せずに居る。
ある日、本土から赴任してきた教師が道に迷ってこの家を訪れる。方向音痴で考えていることが不思議な教師は海岸で拾ったという植物の大きな種を三女に渡し、三女は惹かれるようになっていく。

この土地のこと、人々のことを描き出す序盤。少々説明的な気がしないでもありませんが、こうやるしかないような気もします。東京に出て行った長女が訪れて、ここの人と東京の微妙なズレ感を紡ぐ中盤。 方言を扱う芝居は数あれど、八丈の方言という芝居を観た記憶はありません。語尾や単語が独特で、これが正しいものかどうかはわからないのだけれど、訊いてみれば、さまざまな地方の言葉が混じり合う、ということなのだそう。

ネタバレかも

かつて彼女たちが居た八丈小島を離れるときに飼い猫が姿を消した話を織り交ぜながら、教師と三女が惹かれ合うシーンが実にいい深さを持っています。直接的なことをそう多く語ってるわけではありませんが、実に艶っぽく、ささやき声が効果的。

が、そこから物語は、どんどん不穏な空気が立ちこめるのです。大雨の夜、行方の判らない三女、それより前に惹かれ合っていた教師が突然姿を消して抜け殻になっていて。あるいは三女を探し出した漁師がポケットから出したもの、その漁師さえもまた姿を消すのです。もう、明らかに犯罪の臭いがするのだけれど、それらの出来事に対して物語はある意味放りっぱなしで、何一つ解決しないのだけれど、その不安になるような不穏さが物語を黒い霧のように覆うのです。それを経て三女が進み始めようか、というところの終幕で辛うじてバッドエンドではないけれど、作家のまた別の一面を覗くよう。

高木充子はボーイッシュさが身の上という印象だけれど、実に色っぽい仕上がりで、もう劇場からの帰り道の道中だって愛おしい。ジーンズだったりスカートだったりの洋服の変化が彼女の気持ちを表すよう。座組の中では最も若いだろう小林真梨恵が演じた母親は久々に身体表現中心ではなくめいっぱい台詞を語るというのもちょっと珍しくて。天明留理子はバブルを昇り始めた頃の微妙なズレ感を確かな力で。佐藤達はさりげなく、しかし圧倒的に巧く暖かく居る、頼れる男を。ロゴが大書されたシャツのシーンでは客席がややざわつくのも楽しい。

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